おひつじ座
自分との約束を思い出す
新しい神を身に降ろす
今週のおひつじ座は、「聖なる称号」をみずからに冠していくような星回り。あるいは、思い込みであろうと何であろうと、自分が身を捧げるべきものを思い出していくこと。
神々と人間とのあいだに越えられない大きな隔たりがあると考えられるようになる以前、古代世界において神々と人間はほぼ同じ次元にある存在とみなされていました。
例えば、「神として崇められた」カエサルの息子は、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスは神の象徴として月桂樹の冠をかぶった姿で当時の硬貨に描かれましたが、これは古代ギリシャやイタリアで広く樹木信仰が行われていたことの名残りで、とりわけ月桂樹はギリシア神話における光明神アポローンの霊木として崇められていました。
つまり、彼らにとって公の場でそうした冠をつけるということは、超自然の力が自分にも備わっていると本気で思い込んでいくことに他ならず、はじめは手品師に毛の生えた程度のまじない師も、そうした役回りを続けていくうちに、やがて押しも押されぬ神の化身を立派に果たすようになるものなのです。
21日(木)に占星術上の元旦である春分の日を迎え、同じタイミングで古代世界において始まりの節目である満月(時代が下ると新月が始まりの節目となっていった)を迎える今週のおひつじ座は、現代の感覚とは異質な古代人の感覚をもって、自らの理想とするのにふさわしい役回りを自分与えていくといいでしょう。
橋をわたるために
虹は神的存在(天)と死すべき存在(地)とが交わるための橋ですが、同時に、人間の意識にとって虹は非常につかまえにくいものであり、自分が直接立つことのできる場所で虹が終わるということはまずありません。
しかし一方で、虹というのは宇宙的に確かな豊かさの根源の象徴であり、誰もがうまれてくる際に一度はそれを確かにつかんでいるということを、私たちは忘れがちでもあります。
そして、この世において豊かさというのものがすべからく何らかの「商い(約束の履行)」からもたらされるように、自らが結んだ契約が確かなものであるということへの確信(faith)こそが虹を呼び出す鍵なのです。
そんなことから、今週は思い出してみてはいかがでしょうか。
今週のキーワード
月桂樹