おひつじ座
<私>を書き換える
自分自身を再生産する
今週のおじつじ座は、「冬ごもり鶉に心許しつつ」(西村麒麟)という句のごとし。あるいは、私が私であることのうまくいかなさやほころびを受け止めて、自分自身を再生産させていくような星回り。
人生というのは必ずしも日常性の連続で出来上がっている訳ではなく、時に非日常性が差し込まれていくことで、全体として自然な流れとなってきます。
それは都市に生きる一般的な個人においては「出会い」であったり「旅」であったり、あるいは「結婚」ないし「不倫」や「転職」ないし「起業」といったライフイベントの形をとっていたりする。
ただ、有り体にいってそうした祝祭的なイベントごとをこなすのは、ある種のコスプレであり、コスプレである以上本当はなんだっていいのだ。
その意味で掲句もまた、作者による一種のコスプレであり、俳人が鶉(うずら)と出会えば、そこで何かが起こりそうな感じを自覚的に演出している点こそが掲句のエッセンスなのではないか。
そして、今の、あるいは2019年のあなたもまた、自分の日常に祝祭的な場や営みを自覚的に挿入していくことを通して、人生をより心地良く、イキイキとしたものにしていくことがテーマとなっていくはず。
DNAにスイッチを入れる
例えば旧約聖書の『創世記』の冒頭には「光あれ(Let there be light)」と神が言った、という下りが出てきます。
この一言は、原初の渾然一体を揺さぶり、その根本からかき乱してしまう危険分子であったがゆえに、放たれた一言に対する生々しい反応を誘いだすことに成功し、それに続く新たな世界に活力を与えていく大きな原動力となっていきました。
ことほどさように、「書く」という行為には新しい宇宙を孕ませていくだけの力が宿っていくのだということを、今のあなたはよくよく肝に銘じていく必要があるように思います。
たとえ自然な成り行きでつづられたささやかな一行の自己表現であったとしても、その背後には人生をまるきり変えてしまうほどの、莫大なエネルギーが隠れていることだってあるのです。
そして、そうであればこそ、自身を変えていくための書き出しはあなたが考えうる限りの過激さで書かれなければなりません。
そして過激である以上に、自分自身に一番言いたいこと、自分にとってもっとも大切なものへの思いを込められていくのでなければならない。
そうすれば、あたかもその一言があなたのDNAのスイッチを入れるように、次第にこの世との関わり方そのものも変わってくるでしょう。
今週のキーワード
小説は書き出しの一行で決まる