おひつじ座
偶然と計画のはざまで
内側に力を宿す
今週のおひつじ座の星回りは、さながら計画的な家出のよう。すなわち、これまでとは違った自分になって、どこかから戻ってくるような星回り。
典型的な家出と言えば、かっとなって衝動に任せ、リュックひとつで飛び出ていくというものでしょうけれど、大体最終的には「家に帰りたい」と泣けてきて、親や家族が迎えにくるものと相場が決まっています。
そこでは「冒険」はいつかは醒める夢のように、あるいは、聞き分けのない子供のように無力なものとして扱われているわけです。
今週おひつじ座が必要とするのは、そうした見切り発車的なものとは一線を画した、そっと誰か何かの秘密を持って帰ってくるような類の冒険なのではないでしょうか。
秘密を得るには大概リスクを伴いますから、それを「知りたい」という欲求はある種の病いみたいなものと言え、葛藤をもたらしつつも、ときどき自分の中でどうしようもなく抑えられなくなるのです。
そんな時、ひとは本を読んだり、詩を書いたり、誰かと逢おうとするのかもしれません。
それは自分をこれまでと違ったものにして、ちゃんとひとりで帰ってくるような、やはりどこか計画された家出のようなものになっていくはずです。
背反する二項をめぐる冒険
都市と自然、男と女、科学と宗教、あたまとからだ、昼と夜、善と悪。
例えば、これら対をなす二項はいずれも完全に交わりきることなく、結合と離散を繰り返し、その度にお互いの間に横たわる深い溝を確認してきました。
しかし、そのことはいったん忘れてしまいましょう。
いや、改めて二項のあいだを冒険していくために、あえて忘れてみせるという知恵を使ってみてはいかがでしょうか。
アダムとイブの前に現れた蛇からすれば、人間の考える「あれかこれか」の二者択一は、往々にして神経をすり減らすだけの勝ち(価値)のないゼロサムゲームであり、そこで蛇は二項いずれでもない第三の選択肢が現れてくるまでジッと待ってみたりする。
秘密を持って帰ってくるには、それくらいの抜け目なさが必要なのです。
けれどその際にも、あまり肩肘張らず、自分をどこかへ放流して泳がせていくくらいのつもりでちょうどいいでしょう。
今週のキーワード
プランドハプンスタンス理論