おひつじ座
自然体と自然人
ゆらゆら帝国
今週のおひつじ座は、「ゆらゆら」というオノマトペのごとし。すなわち、現れては消え、消えてはまた現れるまぼろしのごとく、自分を解放していくような星回り。
ゆらゆらしているもの。軒の下の飾りや動物のしっぽ。それに、風に揺れるスカート。ろうそくの炎。
どこかしら確かに固定されている点はあるものの、途中からその点に抗うように揺れるもの。重力のことなんてすっかり忘れてしまったみたいに。
その揺らめきと危うさ、つかみどころのなさは、どうしようもなく人の目を惹きつけるし、私たちの意識はそこに吸い寄せられる。
あるいは、自分自身がそうした不可解な存在になっていったり、ひとつの感情に浸っていたのに、それとはまったく別の方向へと感情がぶれていくことを、私たちは時々、どうしようもなく欲してしまうことがある。
ただ、あんまりぶれすぎたり不安定な状態が長く続くと、それは「よたよた」や「ぶれぶれ」ないし「よぼよぼ」になってしまう。
ほどほどがちょうどよいのだ。ちょうどいい程度に「ゆらゆら」していくことで、今週は生命としての自然体を取り戻していくような感覚を取り戻していきたいところ。
自然人と内なる自然
「自然体」と私たちはつい簡単に口にしてしまいますが、もちろんそれは「内なる自然」の発見や、「自然人」となることとセットになっている、という文脈も見逃してはならないものです。
内なる自然の発見とは、既存の社会制度やマナーに対立して、ごく自然なことのように思える感情や行動や本能を垣間見ていくこと。
さらに「自然人」とは、必ずしも人里離れた山奥や森の中に住んだり、昔ながらの生活している人のことではなくて、わかりきったものとされているものの中に、新鮮な印象や味わいを再発見することができたり、自分のしている営みの中に畏怖や心の底からの親しみを見出せる人のことを指していく訳です。
おそらくホラティウスの有名な「Carpe diem(カルペ・ディエム/この日を掴め)」という言葉も、そうした「自然人」的な営み、ないし「内なる自然の発見」が放った一瞬を切り取った奇跡の1枚のことなのでしょう。
心に波立つ体験のなかで、満たされていく幸せをつかみとっていってください。
今週のキーワード
ぶれぶれとゆらゆら