おとめ座
ゆっくり丁寧に息を吐く
まなざしの向け変え
今週のおとめ座は、「ゆっくりと花びらになる蝶々かな」(小林凛)という句のごとし。あるいは、かつて心動かされた光景を改めて引き継ぎ、紡ぎ出していくような星回り。
作者は当時まだ小学生。小学校でいじめに遭い、不登校になった時に心の支えになったのが俳句だったのだとか。
特に「やせ蛙まけるな一茶これにあり」など、力の弱い小さき者への愛情を詠うことの多かった小林一茶がお気に入りで、掲句にもやはりそうした一茶のまなざしに通じるものが伺えます。
文芸や人文学などをやっていると、世間からはそんな何の役にも立たないことをやってと、半ば呆れて言われてしまうことがありますが、こうしてまなざしが引き継がれていく様を目の当たりにすると、たまには人を救うことがあるようだとほのかに希望が持てるような気がしてきます。
あなたにも、かつて壊れかけひび割れた心を、何げないまなざしを通じて救われた経験があるはずです。今週はそんな経験に立ち返るようにして、自身のまなざしを言葉や態度へ変えていくことを意識していきましょう。
自然な呼吸で
最果タヒはイラスト詩集『空が分裂する』のあとがきで、自身が詩を「なんとなく、書き続けてきた」経緯について、次のように振り返っています。
「創作行為を「自己顕示欲の発露する先」だという人もいるけれど、そうした溢れ出すエネルギーを積極的にぶつける場所というよりは、風船みたいに膨らんだ「自我」に、小さな穴が偶然開いて、そこから自然と空気が漏れだすような、そんな消極的で、自然な、本能的な行為だったと思う。誰かに見られること、褒められること、けなされること、それらはまったく二の次で、ただ「作る」ということが、当たり前に発生していた。」
「自然と空気が漏れだすような」というところなどは、まさに今週のおとめ座にとって理想的な在り方と言えるかもしれません。
みんなとどうしても違ってしまう自分の存在を、平凡な装いで隠すのでも、過剰な賞賛で塗りたくるのでもなく、ただそういうものとして受け止め、息をするように自然に打ち出していく。
今はそんなところに落としどころを見つけていく時です。
今週のキーワード
自然と空気が漏れだすような