おとめ座
素人質問で恐縮ですが
今の時代に必要なもの
今週のおとめ座は、「“生きた自然”の回復」への試み。あるいは、自分たちが生きている「今」という時代を大局的に先取りしていこうとするような星回り。
公共政策と科学哲学を専門とする広井良典は、『無と意識の人類史―私たちはどこへ向かうのか―』(2021)の中で、大きなレベルで「今」を特徴づけるのは、2つの相反するベクトルの「せめぎ合い」であるという見方をしています。
一つは、「地球環境の有限性や持続可能性という価値に目を向けつつ、環境・経済・福祉の調和した社会を志向するという方向」の流れで、広井はこれを「持続可能な福祉社会」や「ポスト資本主義」といった社会像と結びつけています。
対するもう一つは、「様々なレベルでの『限りない拡大・成長』という方向をあくまで追求する方向」であり、そうした流れを代表するものとして「①人工光合成(に示される究極のエネルギー革命)、②地球脱出ないし宇宙進出、③ポスト・ヒューマン(人間そのものの改造ないし進化の次なる段階)」の3つが挙げられ、それは現代版不老不死という夢にそくした具体的テクノロジーと結びついた動きで、経済的なレベルでは「スーパー資本主義」と呼べるような姿と重なるのだといいます。
ただ、広井個人としては後者の流れには、現在の人口過密や格差社会、環境破壊などの問題を深刻化させるだけなのではないかという点で、根本的に懐疑的だとした上で、現在の私たちにとって重要なのは、かつての「心のビッグバン」や「精神革命」に匹敵するような“新たな世界観の創出”であり、それを人間と人間以外どころか生命と無機物の間で絶対的な線を引かず、連続的に捉えていく「新しいアニミズム」として表現しています。
それは「“生きた自然”の回復」とも呼びうるものな訳ですが、これは何もアカデミズムだけが独占するべき領域ではなく、むしろドラえもんに親しみ、虫や花や月をごく身近に感じてきた日本的な感性によって記述されるべき領域なのではないでしょうか。
4月21日におとめ座から数えて「哲学すること」を意味する9番目のおうし座で木星と天王星の合(センセーション)を迎えていく今週のあなたもまた、そうした「“生きた自然”の回復」への流れに、自分なりに参画していくことがテーマとなっていくでしょう。
「月の裏側」からの回想
たとえば、政治学者の丸山眞男は名著『日本政治思想史研究』(1952)において、明治時代の初めに日本が西洋と対等になろうとしたのは、西洋に同化するためではなく、西洋から自分をよりよく守るための手段を見出すためだったということについて言及してみせましたが、こうした丸山の明治維新への洞察は、どこか今週のおとめ座の人たちのテーマと通底していくところがあるように思います。
文化人類学者のレヴィ=ストロースは、日本はヨーロッパと太陽塀の架け橋の役割を果たしつつ、ヨーロッパと似通っていながらも対極にある歴史を発展させてきたと考え、19世紀に起きた日本の動きを18世紀のフランスの動きと比較して取り上げつつ、日本の歴史を「月の裏側」に例え、丸山をそうした歴史に取り組む学者の一人に挙げました。
これはギリシャ、ローマ以来のヨーロッパの歴史を「月の表側」とした時、それは歴史の半面でしかなく、日本やアメリカなどの歴史の動きをその内側から洞察していくのでなければ、真の歴史理解には繋がらないという彼の考えの現れでもありました。
今週のおとめ座は、まさに太平洋戦争の只中で明治維新の本質を看破した丸山のごとく、自分が身を置く社会やコミュニティの真実を内側から看破していくことが求められていくはず。
おとめ座の今週のキーワード
社会は以心伝心ではなく、同床異夢