おとめ座
ちょっとの塩梅
明晰すぎてはいけない
今週のおとめ座は、『兎にも亀にも内緒冷し瓜』(星野麥丘人)という句のごとし。あるいは、頭では解き明かすことのできないちょっとした神秘が身の内からこぼれ出してくるような星回り。
現代では「冷やす」と言えば冷蔵庫ですが、井戸水や清流などで冷やす瓜やメロンにこそ、格別の味わいがあるというもの。
たしかに内緒でそういうものをこっそりと仕込みたくなる気持ちというのも分かるのですが、ただ「兎にも亀にも内緒」というのは現実にはありえない話でしょう。第一、なぜ他でもなく「兎」と「亀」なのかもよく分からない。しかし、にも関わらずこう表現されてしまうと、本当にそういう情景が展開されているように思えてくるから不思議です。
おそらく、俳句というのは意図や意味が見えすぎてしまったり、分かりやすすぎてしまってはダメなのでしょう。ただ机の上で頭をひねっているだけでは、決して出てこないようなちょっとした発見だったり、ちょっとしたわけのわからなさにこそ、俳句の本質としての俳諧味が宿るものなのかも知れません。
とはいえ、そういう「ちょっと」の塩梅というのは、やはりある程度数をこなしていかないと身についてはこないし、何度も繰り返していくうちにある時「ひょっこり」顔を出してくれるものなのではないでしょうか。
同様に、8月2日におとめ座から数えて「習慣」を意味する6番目のみずがめ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、自分なりに「ちょっと」の塩梅をつかみ直していくべし。
夢うつつの境目で
うたがおのずからあふれてくる時というのは、たとえるなら寝入り際に夢うつつの境を通り過ぎていくときの感覚に近いのではないでしょうか。出てくる言葉やその配列に驚いているのだけど、どこかでそうなることが分かっていたかのような、じつに不思議な感覚がするものです。
さーっと鳥肌が立つような、首の後ろをシュワーっと電流が走っていくような、心は静かなのに思わず叫びだしたくなるような。そういう懐かしくも新鮮な感覚を今週のおとめ座も体験していくことができるかも知れません。
ただし、それをただの“棚ぼた”として何も考えずに享受して、即座に忘れてしまうのか、それともそうしたはかない感覚を何度もなぞるようにして自分のものにしていくことで、やっと「ちょっと」自分の作品や仕事に落とし込んでいくことができるようになるかは、人によっておおいに分かれていくことになるでしょう。
あなたはそのどちらに転ぶのか。その偶然そのものを楽しむくらいのつもりで過ごしてみるといいかも知れません。
おとめ座の今週のキーワード
懐かしくも新鮮な感覚を