おとめ座
異質な世界へ飛び込むために
新鮮な息吹を感じるとき
今週のおとめ座は、『ビヤホール椅子の背中をぶつけ合ひ』(深見けん二)という句のごとし。あるいは、あまり馴染みのない異質な何かにあえてぶつかっていこうとするような星回り。
同じビールでも、真夏に飲むビールより新緑に染まりながら飲むビールの味の方が格別に感じるのはなぜか。それはおそらく、明るい太陽の下で雑然とばらまいたかのように配置されたテーブルと椅子に大勢の人が集まるビヤホールという場所の特質によるのではないでしょうか。
つまり、ジメっとした湿度の高い日本の真夏の時期は、汗だくになって人と直接触れ合うことはできるだけ避け、川床やクーラーのきいた涼やかな場所でホッと一息つきたくなるのが人情であって、その点爽やかな日差しの明るさを楽しめる初夏のうちは、屋外で「椅子の背中」同士がぶつかり合うことすらも嬉しく、楽しいという気分に自然となっていく。
もともと戦前の銀座でドイツのビヤホールを真似て、イギリス人のアイデアで作られた日本のビヤホールは、かつて新しい異文化の息吹を感じさせてくれる最先端の場所であり、それを文字通り体ごと体感するには、やはり初夏という季節がぴったりなのかも知れません。
その意味で、5月5日におとめ座から数えて「異文化」を意味する9番目のおうし座で「刷新」の天王星と「主体性」の太陽が重なっていく今週のあなたもまた、そんなビヤホールに出かけていくつもりで、いつもとは一味違う関わりにトライしていきたいところです。
生きがいとは抵抗の先に開けてくるもの
「生きづらい」という言葉も今やすっかり人口に膾炙し、ネットで目にしない日はないというくらい一般的になってきましたが、神谷美恵子の『生きがいについて』が刊行されたのは1966年。今から50年以上も前のことでした。
津田英学塾に在学中にハンセン病を初めて知った著者は、その後親の反対を押し切って医学部進学を決意し、30歳で精神科医となります。そして、病いに苦しむ人の傍らでどうしたら人は生きる希望を見出しうるか、「生きがい」を持てるのかを洞察し続ける中、何かを求めて苦労する行為こそが生きがいをもたらしてくれるのだと看破したのです。
ほんとうに生きている、という感じをもつためには、生の流れはあまりになめらかであるよりはそこに多少の抵抗感が必要であった。したがって、生きるのに努力を要する時間、生きるのが苦しい時間のほうがかえって生存充実感を強めることが少なくない
その意味で、今週のおとめ座もまた、いきなり「生きがい」を掴み取ろうとする代わりに、いまの自分に必要な抵抗やトライを探して行くことで、かえってその先に進む力が後から後から湧いてくるはず。
おとめ座の今週のキーワード
生存充実感を強める