おとめ座
暮らしのデザイン思考
自分という「ものさし」で
今週のおとめ座は、暮らし方冒険家。あるいは、自分自身の「仕事」に繋がる無数の可能性に開かれていくような星回り。
現代社会を生き抜いていく上で、お金は必要な道具のひとつであることに違いはありませんが、その道具をどれだけ有意義に獲得していくかという美学を持つためにはどうしたらいいのでしょうか。
そこでしなければならないことの1つとして、「労働」と「仕事」の区別や配分があります。この場合の「労働」とは、他人が発想したことをもとに、その一部分として働くことにより金銭を獲得することを指し、一方の「仕事」とは、あくまで自分自身の頭で考えたことを、体を使って実行し具現化し続け、そのことに人生を費やすということです。
つまり、ここでは金銭を得るための効率性や方法のよしあしではなく、自分がいかに生きていこうとしているか、という生き様の有無や、それにどれだけの時間と手間をかけるかということが問題になってくるのです。
なにも全て「仕事」にしていくのが良いこと、と言いたい訳ではありません。あくまで、「いったい自分は何をしたいのか?生きていくためにはいくら必要で、それを獲得するためにはどういう働き方や配分にしていくのが自分なりのベストなのか」という思考が重要で、その中でどれだけ気持ちよくお金を得たり遣ったりして生きていけるかという話なのだと思います。
19日におとめ座から数えて「役割」を意味する10番目の星座であるふたご座で満月を迎えていくところから始まった今週のあなたもまた、できるだけ既成概念ではなく自分という「ものさし」で生きていくための思考を取り戻していきたいところ。
『華氏451度』の主人公モンターグ
「自分は幸福になるべきだ」と考え始めると、あらゆる種類の不満に目覚めていくものですが、そうした幸福の追求が行き着く先の悲劇を、1953年にいち早く描いたのがレイ・ブラッドベリのSF小説『華氏451度』でした。
その暗黒の未来社会は誰も本を読まなくなった世界であり、主人公は人々が本のせいで強い感情に突き動かされることのないよう、本を焼くことを仕事とする「焚書官」をしています。ところが、あるとき星を見たり、草の匂いをかいだり、タンポポで恋占いをしたりする少女と出会ったことで、すっかり感情を欠いていた自分の状態に違和感を覚え、徐々に美や感動のある世界に目覚め、自分が焼いている本にどんなことが書かれているのか知りたくなります。
やがて、主人公は‟文明人”が幸福だと考える無感動な人生を送るより、深い感動や感情をもって苦しむほうがましだと思うようになっていくのですが、こうした主人公の心理はどこか今のおとめ座の人たちにも通底しているのではないでしょうか。外から与えられる幸福ではなく、いかに真実味のある経験を求めていけるかどうかが問われてくるはずです。
おとめ座の今週のキーワード
内からの充実