おとめ座
移りゆく私に聴き入る
こちらは7月19日週の占いです。7月26日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
聴診器を胸にあてて
今週のおとめ座は、「心音を聴きゐる部屋の夏景色」(布川武男)という句のごとし。あるいは、自身の内面世界の在り様をいつも以上に繊細に感じ取っていこうとするような星回り。
作者の専門は小児科だという。それもあってか、この作品にはどこかよく晴れた日の午前のような、さわやかな明るさが感じられます。
初夏か、それとも梅雨明けか。いずれにせよ、日差しの感じが変わって室内がすこし明るくなり、窓のカーテンも涼し気に揺れている。看護師の白衣もよりクッキリして見えて、診察室の花瓶には小ぶりのひまわりが活けてある。きっと、胸に当てた聴診器から聞こえてくる鼓動もさざなみのように可愛らしいものだったはず。
作者はいつもと変わらずに仕事に励みながらも、そういうかすかな季節の変化の機微を感じているのでしょう。同時に、掲句の「部屋」とは作者のこころそのもののメタファーでもあり、自身のかすかな変化にも意識を研ぎ澄ませているのかも知れません。
そういう意味では、作者にとっては俳句そのものが自身のその時どきの在り様を浮き彫りにしてくれる心の医者のような存在なのだとも言えます。
24日におとめ座から数えて「セルフケア」を意味する6番目のみずがめ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、世間の喧噪に振り回されるのではなく、少しずつ変わっていく自分自身の在り様にこそ意識を向けていくとといいでしょう。
「うつろい」の感覚
おとめ座の人たちがこのタイミングで注目しておきたいものは、「うつろい」の感覚と言ってもいいかも知れません。
これは「ウツ(空)」という言葉を語幹として生まれた言葉で、空疎な状態になにかがやってきて移っていくことを言います。ついでに言えば、そこでは「移る」だけでなく「写り」や「映り」も起こっており、その情報の相入相関のなかで、「うつつ(現)」が微妙に移り変わっていく。
それは、生命というものが完璧なオリジナルがどこかにあって、定期的に元通りに復元していこうとするのではなくて(それは厳しい自然のもとではどうしても無理が生じ失敗に終わる)、時のうつろいとともに自分もうつろい、そこで必然的に生じるゆがみやほころびも遮断しないでいるということを、感覚的によく表しているように思いますし、そこでは、生きることは絶えず生まれ変わっていくことに他なりません。
そうした「うつろい」のコツやきっかけを、今週改めて思い出していけるといいのですが。
おとめ座の今週のキーワード
生命の生存戦略