おとめ座
いのちの奥底からの表現
神話形成としての土器づくり
今週のおとめ座は、縄文土器をこしらえる古代人のごとし。あるいは、不完全さを受け入れつつも、自分なりのビジョンを何かしら“ひな形”へと落とし込んでいくような星回り。
縄文土器の特徴は、壺の口元にいろいろな像を作ることにあります。母親の体から生まれ出る新生児の顔だったり、蛇だったり、神話的な動物や神々の姿を表面に盛り付けて焼いているのです。
つまり、壺の中にある目に見えない何かの存在が壺の口から噴き出し、それが形になって壺の表面にはりついたという構造をしていて、あるいはそれは、彼らが実際に見たビジョンや立体的映像体験の痕跡であり、またそうした目に見えない力の現われなのかもしれません。
縄文の人たちというのは、そうして目に見えるもののカタチを借り、つねに流動している目に見えない力が時おり現われ出てきて、それら2つの世界が折り重なっては変化し続けているものとして、この世界を見なしていたようです。
ある意味で、神話というものはこうした目に見えないものを見えるように変えていくプロセスをある程度論理的に表現したものと言えます。ただしそれはむしろ、説明を省いた余白に目に見えない力の動きを宿らせているのです。
19日(金)にてんびん座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、ここ最近うまく説明できなかった思いやビジョンを何かしら目に見えるもののカタチを借りて表現していくことができるでしょう。
タゴールの生命観
インドの生んだ大詩人タゴールは、「生の実現」を意味する著作『サーダナ』の中で、その大らかな生命観を垣間見せてくれます。
「われわれは至るところで生と死との戯れ―古いものを新しいものに変える働き―を見ている」
「生命は自分の行動を妨げようとする老化を嫌う」
老化は実際には生命のものではなく、生命に付き従う影に過ぎない。私たちの生命は、川の流れのように、岸にぶつかると、おのれがそこに閉じ込められていると感じるのでなく、かえって海に向かって無限に開かれているのを実感する。
「生命が詩と同じように、たえずリズムを持つのは、厳格な規則によって沈黙させられるためではなく、自己の調和の内面的な自由をたえず表現するためである」
そう、生命はその本質として、ただ生き永らえようとするためにだけでなく、いのちを表現しようとするのだ、とタゴールは考えていたのでした。
今週は心身の赴くまま、本当にほしいものだけを欲し、素直にその欲望に従いましょう。それこそがタゴールのいう「表現」に他ならないのですから。
今週のキーワード
「生の実現」