おとめ座
静寂とぶらぶら
聖地感覚
今週のおとめ座は、「月の音あるひは埋没都市の響」(富澤赤黄男)という句のごとし。あるいは、自分という存在が発している音を純化していくような星回り。
聖地というのは、音が金属的に響く場所に多いという話を聞いたことがあります。普通だったら、声や音というのはすぐに空気中に溶けてしまうんですが、そうはならずに強く響く場所というのがある。
そういう場所では、たとえば枯れ葉を踏んでも、やわらかいと同時にどこかキリキリと金属的に聞こえてくるんです。
これは音が純粋になるということなのだと思いますが、9月10日の乙女座新月を控えたあなたにおいても、ある種それと似た感じが強まってくるはず。
耳が敏感になってきて、音がクリアに聞こえてくるにつれて、強く静寂を感じるようになっていく。そう、静寂というのは音なんですよね。
今週はちょうど光が凸レンズを通したときのように一点に収斂していくようなイメージで、音がどこへ差し込んでいくのかを感じとってみてください。
聖地には必ずそこが聖地たる由縁となる中心的な場所が存在するように、あなたを清めてくれるものの核心に触れていくことができるかもしれません。
月の流儀
資本主義やグローバル経済の時代において、都市の無意識は機能性を見失った「空き地」にこそ宿っていくものだと言われていますが、そうした場所にも訪れるのにふさわしい仕方というものがあります。
それは例えば、道を進んでいく方向を「外(どこか遠く)×上(上昇)」に設定するのではなく、「内(既にあった)×下(下降)」の方角へと設定して、無理なく、鼻歌でも歌うくらいのつもりで、ぶらぶらしていくこと。
こういうのはまさに月の流儀でもあるのですが、いつもエネルギー過剰で生産を促す太陽に対して、月というのは本質的に役に立たず、だからこそ穢れていない。
そういう流儀や仕方に身を任せていければ、次第に自分への嘘や恨みつらみに囚われる愚かさもまた消えていき、足どりは空き地に通じる道へ自然と向かっていくでしょう。
今週のキーワード
都市の空き地