おとめ座
様々な好き
情熱と受胎
今週のおとめ座は、「死に下手の吾に褪せゆく曼珠沙華」(三好潤子)という句のごとし。あるいは、自分が良いと思ったものについて、どうしても話したくてたまらないといった具合。
美しく咲いていた曼珠沙華(まんじゅしゃげ)の色が褪せてゆく。そんな曼珠沙華は、「死に下手」で残っている自分にふさわしいということだろう。
多病の人であった作者はなにかと自分と曼珠沙華を重ねていたようだが、そんな歌を多数詠みつつも、生きられる限り生きようとしていったのだから、決して「死に下手」などではない。
言うなら「生き下手」だろうが、そこでそう言わないのが彼女の芸というか、生き様なのだと言える。
今週のおとめ座が追い求めたいのは、こうした技巧によらない情熱に他ならない。
弱る命をふりしぼって燃え立っている最後の花に自分を重ね、なりきっていくことで、どこかやましさの残る自己欺瞞を超え、そこに命が宿るのである。
様々な「好き」はあれど
作者は、なんだかんだ自分のことが大好きなのだと思いますが、とはいえ「好き」と一言で言っても、そこにはいろいろな種類やプロセスがあります。
ただそれが在るだけで幸せな好き、もっとその秘密を知りたい1つになりたいという好き、憎くて憎くて仕方ないけどどうしても憎みきれないような好き、など。
どの好きが良くて、どの好きはダメということは言えないのですが、それを承知の上で言ってしまえば、「ただ好きなだけ」ではやはりダメなのです。
より厳密には、「ただ好き」は時とともに「貢献したい」「知りたい」「広めたい」「殺したい」など他の衝動や感情と結びついたり、微妙に移ろったりしていくことで好きが深まることはあっても、その逆はないということ。
今週はそうした「好き」にまつわる自然なプロセスを自分の中で許可していくことが焦点となっていきそうです。
今週のキーワード
好きを深める