おうし座
表現する生命として
眠っていた本能を解き放て
今週のおうし座は、「葉も蟹も渦のうちなる土用かな」(依光陽子)という句のごとし。あるいは、自分を飲み込んでいくような大きなエネルギーの流れに身を任せていくような星回り。
掲句は夏の土用を詠んだものですが、春夏秋冬に土用はあって、それぞれの季節の終わりの18日間のことを指します。今年は先週4月17日から5月4日の土用明けまでが春の土用にあたり、いのちが一斉に芽吹いていく春もいまがちょうどピークにあたる訳です。
ちょうど太陽もおひつじ座からおうし座に入ってきたばかりの今週は、おうし座にとって眠っていた本能の力を一年でもっとも純粋に発揮していけるタイミングと言えるでしょう。
掲句では渦巻く水のながれに、小さな命の代表としての「葉も蟹も」がもみくちゃにされていきましたが、それくらいの力強いエネルギーが自分の中からこんこんと湧いてくるのを今週あなたも感じていくことができるはず。
今こそタガを外して、本能を思いきり解放させていきましょう。
タゴールの生命観より
インドの生んだ大詩人タゴールは、「生の実現」を意味する著作『サーダナ』の中で、その大らかな生命観を垣間見せてくれます。
「われわれは至るところで生と死との戯れ―古いものを新しいものに変える働き―を見ている」
「生命は自分の行動を妨げようとする老化を嫌う」
老化は実際には生命のものではなく、生命に付き従う影に過ぎない。私たちの生命は、川の流れのように、岸にぶつかると、おのれがそこに閉じ込められていると感じるのでなく、かえって海に向かって無限に開かれているのを実感する。
「生命が詩と同じように、たえずリズムを持つのは、厳格な規則によって沈黙させられるためではなく、自己の調和の内面的な自由をたえず表現するためである」
そう、生命はその本質として、ただ生き永らえようとするためにだけでなく、いのちを表現しようとするのだ、とタゴールは考えていたのでした。
今週はおもむくまま本当にほしいものだけを欲し、素直にその欲望に従いましょう。それこそがタゴールのいう「表現」に他ならないのですから。
今週のキーワード
『サーダナ』