おうし座
自己信頼のテスト
意図は三度試される
今週のおうし座は、「つゆばれや一筋横に蜘蛛の糸」(小沢碧童)という句のごとし。あるいは、自分の口から吐いた「糸=意図」が、何度も試されていくような星回り。
すこし気の早い一句ですが、「梅雨晴れ(つゆばれ)」は、梅雨明けのことではなくて、梅雨の合間のつかの間の晴れ間のこと。長雨がつづけば、当然クモの獲物もありませんから、次第に飢えてきたところの、久しぶりの晴れ間。
掲句では、そんな力を一体どこに隠していたのかと思えるほど手早く、蜘蛛が巣を張っていったのでしょう。またそう遠くないうちに再び雨が降り始めることも知らずに。
ちょうど今のあなたも、そんな蜘蛛の姿とどこかが重なっていくのではないでしょうか。
本当に自分が得たい“獲物”とは一体何なのか? それは一度や二度、蜘蛛の巣が雨に降られて破れた末に、三度目の正直でやっと見出されてくるものなのかもしれません。
思いつきと芸術作品のちがい
完成された蜘蛛の巣は、人間におきかえればある種の芸術作品に置き換えることができるでしょう。アメリカの哲学者エマーソンは、単なる思いつきと創造的仕事とを分けるのは自己信頼の持ち方だと述べています。
「天才の仕事を見るたびに、われわれは、自ら退けた思いつきがそこにあること気付かされる。自分の思いつきが、よそよそしげな威厳をもって自分のところに戻ってくるのだ。すぐれた芸術作品から得られる教訓ほど身につまされるものはない。それらが教えてくれるのは、たとえ世界中から反論されても、自分の内側から生じた考えに快く、しかも毅然と従うべきだということである。さもないと、自分がいつも考えたり感じたりしているまさにそのことを、いずれ見知らぬ誰かが見事なセンスで表現するだろうし、われわれは自身の考えを忸怩たる思いで他人から受けれる破目になるだろう。」(『自己信頼』)
今週は、ある意味でどれだけの自己信頼を育んでいけるかというテスト期間なのだとも言えるかもしれません。
今週のキーワード
天才は自己信頼の天才