おうし座
黙ってやるただそれだけ
うんと身近なサイエンス
今週のおうし座は、フィールドワークにいそしむ「若い科学者」のごとし。あるいは、自分なりの「生活の知恵」の原点に立ち返っていこうとするような星回り。
アリ研究の第一人者である生物学者エドワード・O・ウィルソンは、インタビュー集『嘘と孤独とテクノロジー―知の巨人に聞く―』(2020)の中で、インタビュアーが投げかけた「われわれは100~200年後には自らを崩壊させてしまうか、テクノロジーを使って高度な知能を備えたほぼ無機的な“ポストヒューマン”に進化していくのではないか」という未来ビジョンにおおむね賛同しつつも、次世代を担う若者へのメッセージとして次のように語っています。
地球上の生命体についての実態、「生物とは一体何か、どこから来たのか、どれくらいの数存在するのか、どのようなメカニズムで全体がまとまっているのか」などについて研究はまだ始まったばかりで、これから研究分野、そして教育分野で、大いに注目され推進されサポートされるべきなんです。
そして、どのような教育が尊重ないし推進されるべきかということについて、サイエンス(S)、テクノロジー(T)、エンジニアリング(E)、数学(M)を重点的に勉強させるSTEM教育というアメリカなどで推進されている教育システムを「間違っている!まったく逆なんです!」と批判し、こう続けています。
大学に入る前の時期にこそ、「若い科学者」が生まれるのです。(…)その際に、最も適した場所の一つはフィールドワークです。自然に対して興味と好奇心と情熱が自然に湧き起こってきたら、あとは簡単です。(…)基礎の部分にたくさんの時間を使うのは無駄です。順序を逆にして、まず実際の研究にとりかかるところから始めたほうがいい。
ウィルソンは、「世界を探検せよ、そしてその中に生きている生物についてよく調べ、それらを維持するためのサイエンスを確立しよう」とも言っていましたが、この「サイエンス」は、「夏休みの自由研究」にも「おうし座の経験則」にも置き換え可能であるはず。
7月28日に自分自身の星座であるおうし座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、小学生に戻ったつもりで、この夏の自由研究のテーマを決めてみるといいでしょう。
「やらない」文化
「意識高い系」と呼ばれる、例えばある種のオンラインサロンに入り浸っているような人たちにとっては、実際にやっていることの中身やその質よりも、「何かやっている雰囲気」というのがとにかく大切なのかも知れません。
たいてい、彼らは自身の取り組みにきわめて“真剣”であるがゆえに、それがどんな反応に迎えられるか、いかに評価されるかという方向に意識が縛られがちですが、ただ、そうした「なにかやってやる(からそれを好意的に受け入れてほしい)」という文化に対置されるものとして、「やらない」文化というのもある訳です。
例えば、やたらと“仲間”を募ってよく理解できない者までも巻き込んだりしない、とか、自分は世間の常識や権力側に対するカウンターパートなのだといった過度な意識は捨てる、とか。ましてや、業界だとか地元だとか日本だとか、とにかく大袈裟な対象をあげてそれに自分は貢献するのだといった思い上がりは持たない、とか。
今週のおうし座もまた、自身のやっていることの質を高めていくためにもそうした「やらない」文化をこそ大切にしていきたいところです。
おうし座の今週のキーワード
はしゃぐほどに夢中ではなくなっていく