おうし座
潔く道を行くために
変身成仏の道
今週のおうし座は、白洲正子の『両性具有の美』のごとし。あるいは、男と女の中間へ向かっていこうとするような星回り。
この本ではさまざまな男性同性愛の事例が語られるのですが、それは著者の白洲正子がどうも女性による男性への変身をへた成仏はあまり成功せず、成功するのは男性による変身成仏なのだという考えを持っていたことに起因しているように思います。
一見すると単なる男尊女卑とも取られかねないのですが、事はそう単純ではなく、薩摩隼人の血を享け、女性でありながら強烈な男性性を持ち、小林秀雄や青山二郎といった一流の審美眼の持ち主達に混じって、評論や骨董といった当時まだ男専有の感が根強かった道に手を染めていった著者。そんな自身の経験を踏まえて「男女や主従を超えたところにある美しい愛のかたち」を追求していった結果たどり着いた極意がそこに含まれている訳ですが、例えば本書の最終章「竜女成仏」は、次のような話でしめくくられています。
それにつけてもこの頃の新宿二丁目あたりのおかまは、私が知っていた人たちとどこか違う。私が思うに、真物の衆道は室町時代で終っていたのだと思う。(中略)古いおかまの友人の一人に訊いてみると、言下にこう答えた。
「そりゃ命懸けじゃないからよ」
これは「おかま」だけなく、現代のすべての男性に対して暗に言っているのでしょう。
26日未明におうし座から数えて「変容」を意味する8番目のいて座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、自分がどこへ向かってどんな風に変わろうとしているのか、改めてその本気度を問われていくことになりそうです。
黙って置いていく
新しい価値観が生まれてくる時というのは、いくら丁寧に言葉を紡ぐことを心がけても、かえってその乱暴さばかりが目についてしまうことがあります。何事かを言葉に託すごとに、その言葉に裏切られる。そして沈黙が生まれるのです。
結果的に、自分の中で新しく生まれてきた何かは黙って示される。というより、「黙って置かれる」のでしょう。
その置かれたものに、人が何かしら気付いてくれればいいし、気付いてくれなければそれはそれで仕方がない。そのまま黙っている。それを豊臣秀吉を相手に命懸けで実践してみせたのが千利休でした。
こうして書いてみるとやはり、やはり何事かをくどくどと説明したり、長々しく説得するというのは、今のおうし座のあなたからは最も遠い態度のように思います。
今週は、これまでとは少し違う形で、目的は願望を表明し、それを追ってみることを意識してみて下さい。
今週のキーワード
無言の前衛