おうし座
暗闇の先に手を伸ばす
未来からの風が吹いている
今週のおうし座は、「中年や遠くみのれる夜の桃」(西東三鬼)という句のごとし。あるいは、自分が今後うけ取っていけるだろう愛について直感していくような星回り。
掲句について作者は自句自解で次のように書いています。
「中年というのは凡そ何歳から何歳までを言ふのか知らないが、一日の時間でいへば午後四時頃だ。さういふ男の夜の感情に豊かな桃が現れた。遠いところの木の枝に。生毛のはえた桃色の桃の実が。」
暗がりの向こうに、うっすらと白く浮かび上がる桃の実は、手に入りそうで入らなったり、また意外なところで満たされたりする「女色」の象徴でしょう。
作者は数々の浮名でも知られた人物でしたが、彼ほどではなくても、人生も半ばを過ぎてくれば、残された人生の中で一体どれほど豊かな愛を感受できるのか、それともそれは減衰していくばかりなのかと、ふと考えてしまう瞬間もあるのではないでしょうか。
6月13日におうし座から数えて「展望と希望」を意味する11番目のうお座で、下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、自分が受け取りたい愛というものがどんなものなのか、そしてそれを得るために具体的にどんな努力をしていかねばらないのかが、改めて浮き彫りになっていきそうです。
必然性への直観
今週は「自信」ということについて考えさせられるような流れにもなっていくかも知れません。つまり今あなたは、自分がどんな自分で在ると確信しているのか。
その際、「(自分には無理かも知れないけど)ああなりたいな」とか、「(〇〇に好かれるために)自分をこう見せたい」といった願望にもとづいた自意識や、セルフイメージというのは、「自分がどんな自分で在るか」を覆い隠せはすれど、決して「自信」ということとは関係ではないのだということはよくよく自覚しておくべきでしょう。
願望は願望でしかなく、魂の自覚(=本来の自信)とは別の回路なのですから。
人間関係で思わず足を掬われるような思いをしたり、さっさと何かを否定することで切り抜けたくなる困難に出くわしてしまうと、つい自分という存在そのものまでかき消されたような気がしてボーっとしてしまうこともあるはずです。
しかし一方で人間というのは、まったくもって不完全な存在であるがゆえに、「あるべくしてこうなっている」という必然性への直観を抱いていけるのではないでしょうか。
今週のキーワード
夜の桃