おうし座
脱獄における困惑
本能と頭脳の葛藤
今週のおうし座は、見慣れた街並みからふいに未知の街角に立ってしまった時のよう。あるいは、自分の内部にある語彙だけでは、もはや現実に追い付けなくなってしまったことに気が付いていくような星回り。
家から駅までの見慣れた通学路や通勤路から、いきなりアマゾンの原生林へ―というと言いすぎだが、見知らぬ街角へ立たされたなら、さぞかし心細い思いをするに違いない。
ただ、街の通奏低音とでも言おうか、耳慣れない喧噪のなかに、なにか洒脱な音楽性を感じたり、淡いなつかしさのようなものを覚えると、自然と考えより先に手や足が伸びてしまうものだったりする。
当然、視覚情報としては、目に飛び込んでくるどんな光景も不安を呼び起こすばかりだろう。けれど、生命というのは元来そんなに‟やわ”には出来ていない。頭より先に体が反応する時は、まごつく脳などそっと置いてけぼりにしておけばいいのだ。
自分の辞書にのっていない現実の匂いや音、肌ざわりや味に接したなら、さながら昆虫採集する少年のように、ただ無心でそれらに自分のからだを開いていくこと。
2月24日(月)におうし座から数えて「現実からの脱出口」を意味する二つ後ろのサインであるうお座で新月を迎えていく今週のあなたは、ここのところ進行しつつある‟現実”の書き換えに対し、いささかの混乱しつつも自分なりの適応を遂げていくはずだ。
ある脱獄犯の独白
だいたい、藪蛇をつついて、ある日突然刑務所にぶちこまれたとしても、特段たまげるようなことでもないのかも知れない。
だって、どこに行ったって職にありつけなきゃ生きていけないってことからして、作業場つきの刑務所みたいなものじゃないか。だいたいこの世ってところが、そもそも大きな刑務所みたいに作られてるていう可能性の方がよっぽど現実味があるような気さえする。
それで、ときどき昨日まで自分のすぐ横で作業していた誰かが、突然いなくなってたり。そんな時に「お星さまになったのよ」なんて、上から言われた言葉を馬鹿正直に信じている奴がいたら、いい笑いもんだよ。刑務所ってところは満天の墓場かって話だ。息苦しいったらありゃしない。
このまま黙っているくらいなら、自分の勘に従って行動するまでだ。たとえ恥ずかしい行為と思われても、それが刑務所内での話なら、むしろ美しい行為のはずだ。止めても無駄だ。それが今のあなたなのだから。
今週のキーワード
お星さまになる