おうし座
自覚の深まり
ぱちくりぱちくり
今週のおうし座は、「きらとする鷹の瞬(まばたき)燄(ほのお)なる」(松瀬青々)という句のごとし。すなわち、高鳴る心臓とともに、心の中で何かが燃え上がっていくような星回り。
野生の鷹ではなく、人に飼われている鷹なのでしょう。したがって、自由を束縛されている訳ですが、それゆえにこそ、時おり自分の身の内に宿る高貴な魂を思い出してまばたきをすると、その度に、ゆらめく炎のように目がきらりと光る。
この場合の「まばたきをする」というのは、本来向かいあうべきものを視界に捉えたことのメタファーとしても読めるかも知れません。
それは獲物か、はたまた、飼い主である人間か。 仮に後者であったとしても、飼い主にとってそれは「飼い犬に手を噛まれる」といった不本意な仕打ちというより、いつかやってくるであろう瞬間の到来に他ならないはず。
そして、そんな遠くない将来を掲句の「鷹」もどこかで予感しているように思います。
12日(木)におうし座から数えて「あの世から昇ってくる場所」を意味する2番目のふたご座で満月を迎えていく今週は、不意にそうした予感があなたを貫いていくこともあるでしょう。
頭か、からだか
禅思想の極みの一人である道元の言行を伝える『正法眼蔵随聞記』を開くと、「仏道を得るには頭や言葉で得るか、からだで得るか」という命題が繰り返し登場することに気が付きますが、これはそのまま今週のおうし座のテーマに他ならないのだとも言えるかも知れません。
つまり、意識や「われ」というのは絶えず、物事や人生の意味や目的を問うけれど、そこで感じとる苦痛や快感、満足や没落といった概念を創り出しているのは誰かということ。
それは「われ」ではなく、その背後にある「自己」であり、すなわち理性や精神ではなく、肉体であるのではないでしょうか。
腑に落ち、身に覚えのあることだけが、「われ」の喜びや満足や情熱を創り出していくのであって、決してその逆ではないのです。
今週はその意味で、あなたの中で「われ」が消えていくなかで、逆にだんだんと強まっていく意志や確信を直接的に感じていくことができるでしょう。
今週のキーワード
からだは意識よりも深く大きい