おうし座
心を天にとめる
二度目の「飛ぶ」に
今週のおうし座は、「日の鷹がとぶ骨片となるまで飛ぶ」(寺田京子)という句のごとし。あるいは、自分という人間を生きる覚悟を、しかと思い定めていこうとするような星回り。
「日の鷹」とは太陽を背負って飛ぶ鷹のこと。最初の「とぶ」まではおそらく現実の光景ですが、「骨片となるまで」飛んでいくというのは、作者の幻想であり、願いでしょう。少なくとも、そういう意志を作者は感じ取っている訳です。
おそらくこれは、20代から療養生活に入っていた作者が、なんとか生き抜いていこうとするみずからの強い意志をそこに重ねていたのだと思います。
その表れとして、「飛ぶ」という動詞が二回出てきていますが、最初はひらがなの「とぶ」で、二度目の「飛ぶ」は漢字になっています。それだけ、二度目の「飛ぶ」に気迫を込めているのです。
28日(月)に迎える新月は、おうし座の反対側で起きていきますが、これは「我にとっての汝」であり、自己の再発見の位置でもあります。その意味で、今週のあなたは自分をそこに重ねるのに値する何かや誰かを、しかとおのがまなこに納めていくことがテーマとなっていくはずです。
起をもたらすべき時を知る
「合縁奇縁」という言葉がありますが、出会いや人との縁というものは実に不思議なものです。しかし「縁」などと言うと、さも人知を超えた力が働いてすべてのお膳立てが整えられているように思い込みがちですが、必ずしもそうではないように思います。
すべての縁が「事」を起こすわけではなく、「事」の起こり方は「心」の運動に大きく左右されていくのです。かつて南方熊楠という人は、「心のとめよう、体のふれよう」で事は起こるのだ、と言っていました。
つまり、人間はさまざまな縁の連鎖や分離、あるいは結合にただ翻弄されるだけではない。掲句の作者のように、偶然舞い込んだ縁にみずから働きかけることで、おのずから「起」をもたらすことも出来るのだと。
縁に働きかけるべき「時」を見極めるためにも、まずは絶え間なくさまよいがちな心をしっかりとめて、遠く離れた自分のゴールやそこへ至る道筋を見据えていきたいところです。
今週のキーワード
みずからの太陽を背負って飛ぶ