おうし座
盲目を脱する
はい、喜んで!
今週のおうし座は、「志願兵」としてのボランティアのごとし。あるいは、ボランティアの名を借りた奴隷搾取から脱け出して、あくまで主体的にコミットする先を選択していくような星回り。
現在の日本社会では「ボランティア」と言えば、即座に権力にとって都合のいい「無償奉仕」へと置き換えられ、実質的な奴隷として搾取される文脈へとつながってしまいます。
ですが、本来ボランティアとは、ラテン語の「ボランタス(自由意思)」、フランス語の「ボランティ(喜びの精神)」、英語の名詞では「ボランティア(志願兵)」に由来し、いずれも「自発的に申し出る」というニュアンスに重きが置かれていました。
そして今週のあなたのテーマもまた、ある種の自主的奴隷状態から抜け出していくためのきっかけをつかんでいくことにありそうです。
歴史を振り返ってみると、例えば神や祖国など大いなるものへの一体感を強く感じる時、人は進んで「志願兵」となりましたが、同時にそれは理性を放棄した狂気や血塗られた暴力へと人々を駆り立ててもきました。
人はいったん盲目的に何かを頼りにするようになると、これこそが唯一の真実であると、自分から積極的に信じようとしてしまうのです。
その意味で、今週もし「何かおかしい」と感じたなら、できるだけ素早く現実の背後にまわりこんで、進んでハッキング(いつもとは違う入口からアクセスすること)を仕掛け、一般的な常識や思い込みに囚われてしまわないよう、十分に気を付けていくといいでしょう。
「正直になれ(Be honest.)」
先に「自主的奴隷状態」という言葉を使いましたが、16世紀の早熟の天才ラ・ボエシはしばしば支配される側からの支配者に対する共犯者的な協力がなされることを見出し、それを「自発的隷従」と呼んでいました。
彼は搾取的な支配というのは、支配される側から自分自身を裏切るような協力的働きかけがなければ、決して成立しえないのだと指摘しています。
「これは(支配者に人々が隷従していること)、どれほど異様な悪徳だろうか。臆病と呼ばれるにも値せず、それふさわしい卑しい名がみあたらない悪徳、自然がそんなものを作った覚えはないと言い、ことばが名づけるのを拒むような悪徳とは。」
現代において、さしあたりこうした「搾取的な支配」の主となっているのは、グローバル経済であり自由主義経済といったところでしょうか。
そして、そこから脱する上で、もっとも効果的なマントラは「正直になれ(Be honest.)」に他なりません。
志願兵たる資格は、けっして自分にウソをつかないという1点にこそ求められるのです。
今週のキーワード
エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ『自発的隷従論』