おうし座
影と共に生きる
静かな時間のなかで
今週のおうし座は、「一つ置く湯呑の影の夜長かな」(深見けん二)という句のごとし。あるいは、自分の主人であると同時に奴隷でもあるような、不可分な関係を見出していくような星回り。
秋の夜更け、ふと湯呑みが一客であることに気が付いた。そして、さらに湯呑みには影があることにも。
こうした、ふだん見えないものが見える静かな時間のなんと貴重なことか。というのも、われわれ人間は誰しも影をもってはいても、それを認めることをできるだけ避けようとするから。
そのために、しばしば自分の影は、それにふさわしい他人へと投げかけられる。
自分の周りにいる虫の好かない人を取りあげて攻撃したり、そのひどさを必死に訴えたりし始めたなら、少し立ち止まって我が身を顧みる必要があります。
異常な熱心さと、その裏によぎる不安を感じてしまうとき、そうした行動の背後にはやはり影の働きが見出されるのです。
誰もそんな影から逃れることはできない。影に自分をのっとられないためにも、影とは適当な関係をもって、その存在を受け入れつつも、それに圧倒されないように毅然と向きあう必要がある。
今週は、堂々たる孤独の中で、自分の影との関わり方を改めて見つめ直していくことになるでしょう。
影に名を付ける
今週のおうし座のテーマは、自分の弱みや影を対象化していくことだ、という風にも言えますが、それには自分がどこかで気にしていることや弱みをデフォルメして名前を付けてみるのが有効です。
例えば、お金のことばっかり気にしてしまう自分が嫌ならば、あえてそんな自分を「マネーの虎」とでも名付けておく。
逆に、お金の管理や財テクなどの才に決定的に欠けているならば「財布バカ」など、とにかくできるだけ分かりやすく、呼んでみてクスッと笑える、というのがポイント。
それくらい、影ととともに生きていくには、弱みを弱みのまま、欠点を欠点のまま抱えて生きる開き直りが必要なのです。ぜひお試しあれ。
今週のキーワード
影の現象学