おうし座
自己表明とセルフケア
辞世の句の効用
今週のおうし座は、「思いのこすことあるぞもなし豆の花」(松本京子)という句のごとし。あるいは、心中の満足と後悔を、どんな形であれ表明しようとするような星回り。
掲句は、一般応募で集まったたくさんの辞世の句を、俳人の坪内稔典さんが選んで『一億人のための辞世の句』としてまとめられたものの内のひとつです。
作者はまだ55歳。振り返ってみれば、いくらかの不満もあるのでしょう。とはいえ、それが人生などと割り切るにはまだ早すぎる。
ちなみに「ぞなもし」とは、 愛媛の方言で「~ではないですか」の意。また、「豆の花」は春の季語で、蝶に似た形をした小さな花。
少女の可憐さと、あるかなきかの豊熟への気配。もしかしたら、作者には結婚相手とは別にかつて深く思いを寄せていた相手がいたのかもしれません。
今週のあなたもまた、感情の秘所を自分の人生に訪れた一回性の神秘として改めてクローズアップしていくことで、自分の人生にひとつの区切りをつけていくことができそうです。
自分の弱みをデフォルメする
いざ辞世の句を書こうとしてみると、自分の弱みや、本当は気にしていることをいかに言語化してきたかが問われるのだということに気付いてきますし、その上手い下手が如実に表れてくるように思います。
ただ、これは訓練次第である程度はどうにかなります。
例えば、自分の弱点にあだ名をつけてみること。お金のことばっかり気にしてしまう人なら、あえて「マネーの虎」とでも名付けておく。
逆に、お金の管理や財テクなどの才に決定的に欠けている人ならば「財布バカ」など、分かりやすく、ちょっと笑えるように、というのがポイントですね。
自分の弱点を対象化し、デフォルメしていくには、まず自分の弱みや恥をさらけ出す勇気と、弱みを弱みのまま抱えて生きる開き直りが必要となります。ぜひお試しあれ。
今週のキーワード
さらけだす勇気