さそり座
心をさらけ出す
心の押入れ
今週のさそり座は、「身の内のけだものに逢ふ冬夜かな」(柳沼新次)という句のごとし。あるいは、「心の押入れ」をすっと開いて、中身を出していくような星回り。
冬、獣たちは食べ物を求めて野山をさすらう。その真剣さはまさにいのちがけだ。
もしも人の心に棲みつく獣がいるとすれば、その獣もまた心の闇の中をさ迷うだろう。そしてたいてい今週の満月のような月が出ている晩に獣と出くわし、はたと目が合うのだ。
いまのあなたもまた、真剣に何かを求めるその真剣さがついに極まるところまで極まりつつあるのではないか。
獣と目が合った瞬間、こちらの何かが決定的に変わってしまい、気が付くと自分もまた一匹の獣となっているように。従うべき本能や衝動がくっきりと明確な形を帯び始めているいま、あとはもうそれを表に出していくタイミングだけでしょう。
起をもたらすべき時を知る
「合縁奇縁」という言葉がありますが、出会いや人との縁というものは実に不思議なものです。
しかし「縁」などと言うと、さも人知を超えた力が働いてすべてのお膳立てが整えられているように思い込みがちですが、必ずしもそうではありません。
すべての縁が「事」を起こすわけではなく、「事」の起こり方は「心」の運動に大きく左右されていくのです。南方熊楠という人は、「心のとめよう、体のふれよう」で事は起こるのだ、と言いました。
つまり、人間はさまざまな縁の連鎖や分離にただ翻弄されるだけではない。縁にみずから働きかけることで、おのずから「起」をもたらすことも出来るのだと。
縁に働きかけるべき「時」を見極めるためにも、まずはさまよいがちな心をしっかりとめて、遠く離れた自分のゴールやそこへ至る道筋を見据えていきましょう。
今週のキーワード
「心のとめよう、体のふれよう」