さそり座
心をじんわり柔らかく
優しさを受けとっていく
今週のさそり座は、「バカだなと目が言うホットウイスキー」(火箱ひろ)という句のごとし。あるいは、染み込むような優しさを自分に与えていくような星回り。
日本語の「バカ」には、文字通りの意味のほかに、なんて可愛いヤツなんだと、溢れる想いをそっと吐き出すように伝えるときの意味とがありますが、さて掲句はどんな場面なのでしょうか?
ほの暗い酒場のカウンターの片隅。作者は女性で、「バカだな」と慰められているのは自分。では、慰めてくれているのは? 男性だろうか、それとも何か別の天からの眼差しのようなものだろうか。
いずれにしても、「バカだな」と大いに語るその目の表情はじんわりと優しい。
その優しさを受けとるためにも、この後きっと作者はホットウィスキーを飲み込み、内側からの温もりを感じていくだろう。
今のあなたもまた、そんなじんわりと内側から温まるような優しさを、自分から手を伸ばしてでも受け取っていくことが大切なのだと思います。
養生の秘訣
「カルチャー(文化、教養)」の語源が「耕す」を意味するラテン語「colore」に由来するように、精神的な豊かさは、柔らかな大地の上にこそ実るもの。江戸時代を代表する俳人・与謝蕪村(よさぶそん)は、ちょうどそんな光景を俳句にしてくれています。
「畑うつや うごかぬ雲も なくなりぬ」
田を返し、土をいじっているうちに、さっきまで垂れこめていた暗雲がいつの間にかなくなってしまった。ただそれだけのことですが、蕪村はこの句を再興した芭蕉庵で句会を開いた日に詠んだのだそうです。
句を詠むことを通じて、芭蕉の精神を汲んでいく行為は、蕪村にとって心を耕す畑仕事であり、どんな悩みや苦しみも晴らしてくれる養生の秘訣だったのでしょう。
逆に心が耕されないと、人ってどんどんトゲトゲしくなるものです。今週は、直接会う人もできるだけ土が柔らかくなるような人を選んでいきましょう。
今週のキーワード
愛は心を耕すことで育まれる