さそり座
人生に乱気あり
打ち乱れる女
今週のさそり座は、「打ちみだれ片乳白き砧かな」(泉鏡花)という句のごとし。あるいは、自分の物語に混乱を含ませていくような星回り。
胸も露わにしつつ、砧(きぬた)をたたいている女。そうせずにはいられない「狂い」や「乱気」が、おもむろに目に入った白い肌とともに掲句に独特の世界観を与えています。
泉鏡花といえば、その耽美的で幻想的なロマンティシズムで知られる作家ですが、彼の作る句にもやはり彼の小説作品に通底するものが表れてきているように思います。松尾芭蕉の句が旅に、与謝蕪村の句が絵によく似ていたように、俳句というのはやはり自分の好きなものに自然と似てくるのでしょう。
つまり、猫好きな人の俳句は猫に、焼肉が好きな人の俳句は焼肉に似ていってしまうのだと。そうだとすれば、あなたの作り出す世界にもまた、あなたの好きなものが自然と滲み出していくのでしょう。
いくら不格好でも、いくら頭が否定しようとも、あなたがどうしても好きでたまらないものは何かあるでしょうか? そんなことを改めて考えていきたい今週です。
心の押入れ
どんな人の中にも、色々なものが詰め込まれた「心の押し入れ」があるものです。あなたは今その押し入れを開け、中のものを取り出し、確認していく必要に迫られている。
特に、ほんのささいな小さな出来事や記憶、それにまつわるアイテムの中に、大きなヒントや人生全体を貫くようなテーマが隠れています。大きく変わるために、小さなパーツに集中する。そうした作業は、非常に楽しくも新鮮な衝撃があるはず。
今週のさそり座へのキーワード
神は細部に宿る