さそり座
道を開くための準備
静止の極み
今週のさそり座は、「寝ておれば家のなかまで秋の道」(酒井弘司)という句のごとし。あるいは、静止の極みに振り切れることで、かえって運動していくべき道が開けてくるような星回り。
収穫の秋は昔から、流動性が活発になる賑やかな時期でした。「秋の道」とはそうして古来より多くの人が踏み分けてきた、“人が必ず通る道”の暗喩という風に受けとってみることもできるのではないでしょうか。
同様に、私たちの人生もまた仮の世を通り過ぎるだけの旅路であり、そう考えてみると、私たちは毎夜、道の路傍で寝ているようなものなのかもしれません。
寂しさが押し寄せてくる夜には、自分ひとりだけが世間から取り残されたように感じてしまうものですが、こういう句を読んでいると、むしろそんな状況でも大の字で寝てやろうという気になってきそうで、どこか頼もしい気さえもしてきます。
どうせ旅路なのだから焦っても仕方ないのだ。黙って寝ていれば、自然と道もまたどこかへ繋がっていくのだから、それまでゆっくり夢でも見ていようか。そんな心の声さえ聞こえてきそうです。
今週はどんな状況のさなかでも、ゆったりと構えつつ、静かに肚を決めていくぐらいのつもりで過ごしていくといいでしょう。
自分にとっての「倒木」を探す
新芽が太陽光を浴びられず育たないことが多い自然林などで、倒木の上に芽を出し、日照不足や養分の供給、湿度などが生育に有利に働き、よく育つ現象のことを「倒木更新」と言います。今のあなたの状況はその直前に似ています。
心に温めている計画はまだまだ芽が出ないかもしれない。けれど、その分どこに根を張るべきか、真剣に考えることができる。もちろん、樹木のうえに着床できれば後はもう100%安泰ということはないでしょうが、それでも300年400年生き続けられるチャンスが開けているということは、しあわせなことだと言えます。
あなたにとっての「倒木」はどこでしょうか。そんなことをじっくり考えていきたい今週です。
今週のキーワード
秋の道