さそり座
運命のクロスロード
運命の動き出す時
今週のさそり座は、「貌見えてきて行違ふ秋の暮」(中村草田男)という句のごとし。あるいは、忘れがたい分かれ道を通り過ぎていくような星回り。
収穫の秋は、モノも人も動く季節です。ある意味で、今週のあなたはそうした秋を象徴的に迎えていくのだとも言えるでしょう。
そしてそんな秋の夕暮れ時は、橋や四つ辻など多くの人で行き交う雑踏がメルティングスポットのようになって、独特の風情が出てきます。
そもそも夕暮れは「誰そ彼(たそがれ)」とも言い、昼の太陽のもとではくっきりと明確だった人々の輪郭が曖昧になって溶け合ってしまうため、古来より占いをするなら夕暮れ時とされてきたものです。
掲句はそれを踏まえた上で、すれ違う相手の「貌(かお)」をあえて確かめようとし、そして「行違う」のです。
一度は溶けあった相手も、行き違い、異なる道を行く時もある。そんなタイミングを、今あなたは迎えようとしているのかもしれません。
怖さの理由
「人間は大きな幸せを前にすると、急に臆病になる。幸せを勝ち取ることは、不幸に耐えることより勇気が要るの」
ある映画の中に出てきたこのセリフは、まさに今週のさそり座にあえて贈りたい言葉でもあります。
あなたは今、粗削りながらもこの言葉の意味を実感しつつあるのではないでしょうか。
確かに人間がいちばん恐れを感じるのは、幸せになる時です。なぜなら、一切の言い訳ができなくなるから。苦労や不幸に甘んじているより、自分の手で勝ちとれる幸せを前にした時ほど、人は「怖い」と感じるものなんです。
逆に言えば、直面している状況に対して何か言い知れぬ「怖さ」を感じる時ほど、幸せは近いのだということでもあります。幸せになるために、みずから一歩を踏み出していきましょう。
今週のキーワード
誰そ彼