さそり座
変容のための準備
張り巡らされた菌糸のように
今週のさそり座は、「爛々と昼の星見え菌生え」(高浜虚子)という句のごとし。あるいは空想上の夢の世界から脱し、私情を離れた俯瞰にいたること。
さそり座の人というのは、あるとき急に自己の在り様だったり、人生そのものが変わってしまうような不思議なところがあります。
ですがよく観察してみると、そうした変化の前には「情報の集め方」が変わっていることが多々あるのです。
さそり座は変容に際して、必要な情報を網目のようにつなぎ始め、自分の目にしか見えない糸(意図)をひとつのタペストリーのように編み上げていくんです。
もし今週、自分がこれまでとは異なる情報の受け取り方や組み立て方をしているなと気付いたら、それは変容の兆しだと思ってください。
「爛々と」のありやなしや
冒頭の句はもともと「昼の星見えしよりこの菌生え」だったのが、そこから冒頭の句に成っていったのだそうです。
確かに、変化する前の句ではまだ「自分の目に詩か見えない糸(意図)」は編み上げられていません。作業の途中というか、確信が足りないし、まだ全体像が見えていない。
やはり「爛々と(らんらんと)」という一言が入ることによって初めて、「昼の星」と森の「菌(きのこ)」が見えない糸でピシっと結ばれ、互いの領域が入り混じって1つの巨大な感興が立ちあがっていく。
ダルマに入れる眼のように、最後の1ピースをはめることに執念深くこだわっていけるかどうかが、今週のカギとなるでしょう。
今週のキーワード
見えない糸(意図)を編む