さそり座
耳に入るすべてのことがメッセージ
言霊幸わう
今週のさそり座は、『雪解坂木々お喋りでありにけり』(徳澤彰子)という句のごとし。あるいは、解凍されつつある思いや記憶に不意に触発されていくような星回り。
道沿いの樹木に積もっていた雪が解けて、水がしたたり始めているのでしょう。坂ではおのずと、樹の上部の枝葉との距離も近くなり、その音にも自然と意識が吸い寄せられるもの。歩きながら、じっと耳を澄ませていると、水のしたたる音に混じって、どうもかすかなノイズ音のようなものも聞こえてくる。
それは春の日差しを浴びて、樹々がその本来の姿を取り戻そうとする際の生命力のうねりであったり、その過程で少しずつ芽が吹いてくる音であったりするのかも知れませんし、作者が「お喋り」と表現してみせたように、樹々が喜びの声をあげたり、思わずはしゃぎあっているということだってありうるでしょう。
いずれにせよ、自然界全体の過渡期というのは普段は余計なことばかり口に出す人間の方が次第に静かになって、逆に人間基準ではお喋りなどしないはずの樹々がお喋りになっていくものなのかも知れません。
そういう意味では、私たち人間が何か目新しい事態に直面していく際、心がけるべきは横にいる誰かへ向けて何かを口にしたり、手を動かしてスマホをいじったりすることではなく、周囲から聞こえてくる声なき声に耳をすまし、よく聞くことなのだと言えます。
2月14日にさそり座から数えて「記憶の底」を意味する4番目のみずがめ座で火星と冥王星とが重なって「埋もれていた思い」が強調されていく今週のあなたもまた、あなたに耳を向けられることを今か今かと待ち受けている「お喋り」にそれとなく接近していく機会に恵まれていきやすいでしょう。
融通無碍に状況を楽しむ
仏教では「異なった別のものが一つに解け合っていながら何ら障害もないこと」を「融通」と言い、また「何の妨げもなく他のものを拒否しないこと」を「無碍」と言い表します。
そうした融通無碍の境地へと実際に至ることは、世俗に生きる人間には難しいことですが、少なくとも「矛盾の中にありながら、その状態を否定しないでいること」というのは、今週のさそり座にとってとても大事なテーマなってくるでしょう。
なぜかって?そういう状態が、人間にとって一番サインや予兆やメッセージを「よく聞く」ことができるから。
あなたは今、まさにこれからの自分の行先を占っているのだと思います。四角四面に物事を割り切らず、しばし融通無碍な時間を楽しむつもりで今週は過ごしていきましょう。
さそり座の今週のキーワード
ナチュラル・サウンドはカミであり、信号の原型