さそり座
川の流れのように
脱・コントロール
今週のさそり座は、できるだけ何もしない介助者のごとし。あるいは、他人をコントロールする動きを減らしていこうとするような星回り。
若年性アルツハイマー型認知症の当事者である丹野智文さんは、あるインタビューのなかで、障害者はしばしば健常者のおもう「正義」や「やさしさ」を実現するための道具となってしまう傾向があるということを指摘しています。
助けてって言ってないのに助ける人が多いから、イライラするんじゃないかな。家族の会に行っても、家族が当事者のお弁当を持ってきてあげて、ふたを開けてあげて、割り箸を割って、はい食べなさい、というのが当たり前だからね。(…)ずっとこれをやられたら、本人はどんどんできなくなっちゃう。
だから丹羽さんは、「それ、おかしくない?」「本人の自立を奪ってない?」ということを言い続けるのだとも話しているのですが、こうした周りの人のやさしさが当事者を知らず知らずのうちに追い込んでいくというケースは、実際あまりにも当たり前に起きているので、これまであまりそのおかしさに対する指摘自体が行われてこなかったように思います。
先のインタビュアーである伊藤亜紗は、「ここに圧倒的に欠けているのは、他者に対する信頼」であるとも補足しているのですが、5月1日にさそり座から数えて「パートナーシップ」を意味する7番目のおうし座で新月を迎えていく今週のあなたにとっても、相手の力を信じ、任せるということがテーマとなっていくでしょう。
力の抜けた強さかな
ではどうすれば、相手の自立心を奪うでも、個人的な興味関心を見失うでもない仕方で、誰かとかかわっていけるのか。それは簡単に言えば、「どうなるか分からないけれど、それでもやってみる」ということを取り入れてみるということです。
自分の行為が相手にどんな結果をもたらすか、そして自分にどんなリターンをもたらすか、まったく読めない状況に直面したときというのは、得てして余裕がありません。つまり、他の誰かに先回りして結果をコントロールすることが普段よりできない訳です。しかし、それでも声をかけたり、介入したり、手を出したりしたいという気持ちが少しでもわいたのなら、それはその分だけあなたがその誰かのことを信じており、たとえ予想外の結果やリターンが相手からもたらされたとしても、受け入れる準備ができているということに他なりません。
そして、それができるだけの強さを、おそらくあなたはもう十分に持っているはず。なおこの場合の強さとは、単に生き延びるのに有利な条件をたくさん持っているということ以上に、いくつもの重なり合った面をときに矛盾を抱えつつも生きていくことができるということです。
さそり座の今週のキーワード
計画倒れを喜ぼう