さそり座
人間らしくより、生きものらしく
世慣れぬかんじ
今週のさそり座は、「麦飯の麦こぼしゐる仔猫かな」(後藤夜半)という句のごとし。あるいは、これまで何の疑問も持たずに受け入れてきた慣習や制度をカッコに入れていくような星回り。
昭和の時代くらいまでは、犬も猫も味噌汁ごはんや麦飯など、人間と同じものや食べ残しを食べていた。掲句に詠まれているのも、皿に盛られた麦のご飯をこぼしながらも必死に食べている仔猫だ。
乳離れはしたものの、まだこの世の食べ物だったり、習慣そのものに慣れていないのだろう。春というのは、この世界に真新しい生命が数多誕生する季節であり、その初々しさが当たり前のように受け入れている既存の慣習や制度をどこかぼかしてしまう時期でもある。
はて、なぜ生きものはご飯を食べるのか。どうして、わざわざ器に盛ったりするのか、と。もしかしたら「仔猫」も不思議に思っているかも知れない。そして、そうした疑問を差し向けられるべき形骸化した慣習や制度もまた、数え上げれば切りがないはず。
同様に、3月21日にさそり座から数えて「調整と修正」を意味する6番目の星座で春分(太陽のおひつじ座入り)を迎えていくあなたもまた、何気なく続けてきた生活習慣ほど、この機会に曇りなきまなこでその意味や必要性を改めて見直してみるといいでしょう。
粘菌流・幸運の招き方
「粘菌」は進化の初期に現れた生物で、200万年前に出現したヒトからすれば生物の大先輩であり、何百倍もの長い年月をちゃんと生き抜いて今なお繁栄している不思議な存在なのですが、その最大の特徴が「自律分散型のシステム」です。
これは人間が体全体の情報をいったん「脳」に1点集中させ、そこから集中管理方式で判断を下していくことで効率を上げているのと対照的に、粘菌はいわば部分部分がそれぞれ勝手気ままに振る舞っているにも関わらず、突然起こった問題に対しても自在に適応でき、迷路を解いたり、複雑で発達した交通網を独自に構築できたりする由縁でもあります。
重要なポイントは、粘菌は考え過ぎたりせず、とりあえず動くことに徹していること。そもそも、「正しい答えを選ぼう」と強迫観念的に考えてしまうこと自体が脳の罠であり、そうして考えて手を出したりすると、余計な力が入ってしまって、それまでなんとなくうまくいってたことまで出来なくなってしまうということが人間には非常によくある訳で、これは特に頑固で思い込みに囚われてしまいがちなさそり座の弱点とも通底しています。
今週のさそり座は、むしろ特定の正解を探すのはよして、仔猫のようにとりあえず動き、なんとなく手を出して、後は「残るべくして残るものが残る」という粘菌のやり方に切り替えてみるといいでしょう。
さそり座の今週のキーワード
初々しさが大切なの