さそり座
いきおいのままに
こちらは5月24日週の占いです。5月31日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
異端異様の直截性
今週のさそり座は、「斯う居るも皆がい骨ぞ夕涼」(小林一茶)という句のごとし。あるいは、いよいよおのれの生き方死に様を浮き彫りにしていくような星回り。
実家の遺産配分を意欲的に解決した翌々年に詠まれた句。じつに作者四十八歳。「斯(か)う居るも」という口述風な書き方にも、それまでにはあまり見られなかった直截ないきおいが出てきています。
人生の半ばもだいぶ過ぎて、いよいよこの身の行く末もおぼろげながら見えてきた頃。だからこそ、しんきくさい説法や御託はまっぴら、どうせ死ねばみな骸骨さ、なんなら今だって骸骨に見えるじゃあないか、と。
どこか、生身のままの成仏という密教的な発想もそこに垣間見えますが、こういう居直り方のなまなましさこそが、19世紀前半の文化文政以後の幕末の庶民文化の底流を成していたのであり、作者もまたその格好の体現者の一人でした。
それにしても、夕涼みに街に繰り出す浴衣姿に透けて見えるのは骸骨なのさ、という鮮やかな啖呵の切り方には、この世の無常感を承知しつつ、それでもどう生きるかということへの作者なりの答えでもあったのではないかとも思わずにはいられません。
26日にさそり座から数えて「生身の実感」を意味する2番目のいて座で皆既月食(満月)を迎えていく今週のあなたもまた、そんな一茶のごとく、ある種のいきおいのままに自身の底の方に流れているものに身を任せてみるといいでしょう。
「それでも地球は動く!」
ガリレオは地動説を唱えたことを理由に宗教裁判(異端審問)にかけられ、有罪判決を受けたことで有名ですが、彼を「悲劇の人」にしているのは裁判当時のガリレオが70歳にもなる老齢であったことが大きいでしょう。しかし実際には、なかなかどうして、どうにも食えないじいさんだったように思えてなりません。
というのも、ガリレオは論争などにもえげつないほどに強く、また何らかの法則を構想して、その計画にアレンジした実験を行っていくという近代科学的方法を最初に始めたのも彼でした。
つまり、ガリレオという人はきわめて現代人に近い感覚の持ち主だった訳で、そういう彼のことだからこそ、友人に「ローマなどに行くと政治に巻き込まれるぞ」といさめられても、「なに、抹香臭い坊主共の政治や宗教裁判くらい」とあまり深刻がらずに、いざとなればなんとかなると思っていたのではないでしょうか。
今週のさそり座も、自分の身を守ることに汲々とするより、決して引くべきではないと判断したら思い切って虎の穴に飛び込んでいくだけの大胆さを発揮していきたいところです。
今週のキーワード
大事な思案は軽くすべし