さそり座
こわばりの溶けだしゆく
春の色
今週のさそり座は、「立春の米こぼれをり葛西橋」(石田波郷)という句のごとし。あるいは、ふとした拍子に自分がやわらいでいくのを感じていくような星回り。
第二次大戦の敗戦直後の1946年の作。疎開先の埼玉から、江戸川区葛西に住む義兄を頼って上京してまだ間もない頃、葛西橋を通った時の句で、自筆の年譜には「焦土に居を定む。満目荒涼たり」と記しています。
千葉県への買い出しに行く人々で賑わったこの橋は、当時の東京では一番長い橋だったそうで、作者はそこでほんのわずかな米が散っていたのを目にしたのです。
当時は大変な食料難の時代でしたから、もったいないという思いが胸に湧いたはずですが、と同時に、何か不思議なやすらぎのような感情を抱いたのでしょう。
それは「立春」であったこととも大きく関係しているはず。偶然にもこぼれていた米の白は、冬が明け待ちに待った春の色であり、やっと訪れた平和の色でもありました。
立春に続いて、10日(月)にはさそり座から数えて「社会との接点」を意味する10番目のしし座での満月を迎えていく今週のあなたもまた、何かしら待っていた兆しがやっと訪れ、ふと体のこわばりが溶けていくのを実感していくことができるかも知れません。
自分のなかの「天」を広げる
英語のことわざに「天は自ら助くる者を助く」という言葉がありますが、この場合の天とは、“自分の中の何か得体の知れないもの”と言ってしまってもいいかも知れません。
それと対極的なのは、例えば友だちの反応や、世間がどう思うかどうかで決断を成そうとする態度ですが、そういう時というのは大抵が、自分を世界の端っこで縮こまって生きているものとして感じているもの。
無意識のうちに自分はきっと不幸なはず、幸福にはなれない、というイメージを浮かべてしまっている訳です。
今週のあなたのテーマは、“自分の中の得体の知れないもの”としての天を心のなかで広げ、心の中の暗い兆しを排していくことなのだとも言えるかも知れません。
今週のキーワード
頭はからっぽ、四股はみなぎる