さそり座
丁か半か
博打のごとく
今週のさそり座は、「洗面器の底に西瓜の種一つ」(篠崎央子)という句のごとし。あるいは、思いがけない願いを自身の胸のうちに見出していくような星回り。
どうしてそんなところに、こんなものがあるんだろう。まさか、洗面器のある風呂場で西瓜(すいか)を食べた訳ではないだろうし、かと言って顔に付いた西瓜の種に気付かないまま風呂場まで行くなんてことがあり得るだろうか。
ここではもっともらしい説明や、直線的な因果関係を拒絶するような事態が詠まれており、洗面器の底にぽつんと佇む黒い「種」は、作者が心中深くで抱いている不安のメタファーとも、予想のつかない未来への萌芽とも読み取れる。
けれど、少なくともそれは1つの事態として明るみになったことだけは確かなのだ。この点において、掲句はいまのさそり座の人たちの星回りと同期しているのだと言えます。
30日(金)にさそり座から数えて「俯瞰的な眼差し」を意味する11番目のおとめ座で新月を迎えていく今週のあなたは、これまで自分の中でどこかで曖昧にしていた問題や心理について、少なからず客観的な認識を持って、表向きの態度を決していくことを求められていくはずです。
いざという土壇場になって出てきた結論に、自分でも驚くこともあるかもしれません。ただそれもまた後になって振り返ってみれば、それこそ人生の醍醐味に他ならなかったのだと知るでしょう。
曇りなき眼で決断していくこと
ここで改めて念頭に置いていきたいのは、完璧な人間というのはこの世にいないのだということ。いるのは、頭の良い人・悪い人、心の強い人・弱い人。これだけです。
その中で、幸運の上であぐらをかいていられるのは頭の良い人ですが、小利口なだけで人として面白味がありません。
例えばヤンキー漫画の金字塔「特攻の拓」には、「“事故”る奴は・・・不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまったんだよ…」という有名なセリフが出てきますが、不運と自分から進んでダンスっちまおうとするような人は、おそらく頭の弱い人か心の強い人のどちらかでしょう。
頭の弱い人のことはとりあえず脇に置いておくとして、ここでいう心の強い人とは、「曇りなき眼で見定め、決める」人であり、それを最後には実行できる人のことです。
ただ、そうして心を決めるには、やはりいったんどこかバカなマネをしてみないと、本当のところでは分からないのだろうと思うのです。その点、ある意味でバカ(不運)な人ほど、最後には心の強い人になっていけるのかもしれません。
今週のなたもまた、はそうした心の強さが問われてくるでしょう。
今週のキーワード
完璧じゃなくても、最後に強くあれればそれでいい