さそり座
不意に自分自身になっていく
はずみに乗っていくこと
今週のさそり座は、「一度きりの絵葉書になる夏帽子」(曾根毅)という句のごとし。あるいは、一周まわって素直に自分を露わにしていくような星回り。
みっともなくても、似合っていなかったとしても、別にいいじゃないか。とにかく秘かに憧れていた光景のなかに、自分も身を置いてみたかったんだよね……。
そんな小さく深い吐露が聞こえてきそうな掲句ですが、思い返してみると、確かに「夏帽子」なんて映画や小説の世界ならいざ知らず、現実の世界で自分や周囲の誰かがかぶっていたことなんて一度も見たことはないし、それは掲句の作者も同様だったのでしょう。
ドがつくレベルの定番アイテムである「夏帽子」をひょんなことから目にしたことで、作者はそれを身に着けてみた自分を「絵葉書」に描かれた光景の中に見出し、自分でも気が付かないうちに手に取っていたのかも知れません。
17日にさそり座から数えて「好奇心の発露」を意味する3番目のやぎ座で起こっていく今週は、ちょっとした思いつきや普段なら心の底に沈めたままになりがちな気持ちを流れに遅れず行動に移していくだけの瞬発力に恵まれやすいタイミングとなっていきそうです。
12星座でもピカ一の腰の重さを誇るさそり座にとって、それは心はずむような新鮮な驚きをもたらしてくれるはず。
運のいい人、わるい人
みずからが「一度きりの絵葉書になる」ということは、分かりやすく言ってしまえば「ただ一度きりのチャンスにおのれを賭けてみよ」ということでもあるかも知れません。
ともすれば人は人生で一度きりであろうチャンスを前に、かえって身体や心を硬直させしまって何もできずに終わったり、「また似たような機会があるだろう」と安易な慰めを与えて水に流してしまいがちです。
そうして、「やってみたい」という気持ちや本能を無視して「やらねばならぬ」ことに従事していると、だいたい体が冷えていったり、あちこちが硬くなっていったりする訳ですが、大抵「運が悪い」人というのは、そんな風に心身が冷えきって硬直している人がほとんどなんです。
その意味で今週は、ただ思いつきを具現化するというだけではなくて、どこか停滞していた運気に活力を取り戻し、「運のいい」人になっていくためのきっかけをつかんでいくことがテーマになっているのだと言えるでしょう。
今週のキーワード
冷えは万病のもと