さそり座
ジェンダーへのジェスチャー
中村うさぎの問い
今週のさそり座は、「愛という病」について斬り込んでいく中村うさぎのごとし。あるいは、「愛されたい」という思いと「愛したい」という欲求とがせめぎあい、もつれていた糸が少しだけほどけていくような星回り。
女の欲望について、元も子もないことを言わせたら中村うさぎの右に出る者はいないのではないだろうか。
例えば『愛という病』というエッセイ集の中で、中村は「女性とは何か?」が分からないのだと言いつつも、次のように綴ってみせる。
「「女の病」とは、畢竟、ナルシシズムの病なのである。女のナルシシズムは、他者の愛によってしか満たされない。それは女が自分を「他者の欲望の対象」として捉える生き物だからである。女は他者の欲望を求めることによって自己を確立し、同時に、他者を無化するモンスターなのだ。」
思わず血しぶきが見えるような文章だが、実際、中村はダメ男にハマってしまう女や、女を出すことに恥を覚える女、いつまでもナウシカに憧れる女など、たくさんの女を観察し、その度に、なぜ女は「愛し愛される事」に固執するのか? 「愛し愛される相手がいない」という1点の欠落だけで自分を価値のない存在のように感じてしまうのはなぜなのか? と問いを繰り返していく。
そして、不意に「これさえ解ければ、女たちは今よりずっとラクに生きられるような気がするのだ」などと自身の思いの丈を吐露してみせるのだ。
ジェンダーフリーが叫ばれ、社会的な意味で「女」というものが複雑になり、よく分からなくなっている今だからこそ、彼女のような試みはますます重要になってくるように思う。
もちろん男性だって、今まで女性が苦しんできた「生きづらさ」に、これから苦しみ始めるかもしれない。
今週のあなたもまた、中村のような過激さを伴なうかはともかく、自分への愛というもつれた糸を、他ならぬ自分自身の手でほどいてみるといいだろう。
身の振り方を示す
社会というのは、時おり出現してきてはこちらを驚かせるニュータイプを目の前にした時、無視を決め込むか、叩いて徹底的に潰すか、はたまた潔くそれを受け入れていくか、いずれかの反応をその都度選んでいきます。
今週のあなたは、そんな社会と同じ立場に個人として立たされているのだと言えます。
それは、どれだけ自分を「私心なき人類教師」へと近づけていくことができるか、という実験テストを行っていくようなもの。
おそらくそこでは、態度を示されるニュータイプの側が思わずこれからもこの世界で頑張ろうと思えるような、爽やかな表情と手の振り方ができるかどうかが焦点となっていくでしょう。
今週のキーワード
『愛という病』