さそり座
開花の予感
いよいよラストスパート
今週のさそり座は、「教室の窓より遁(に)げてただ一人かの城址(しろあと)に寝に行きしかな」(石川啄木)という歌のごとし。あるいは、秘かに抱いていた願望をそっと浮上させていくような星回り。
「教室の窓」と「城址」の組み合わせから、どこか懐かしい香りが漂ってくる雰囲気がありますが、それはいつの時代も誰もがどこかにそんな願望を秘めているからでしょう。
こうしたある種の解放感のようなものを、いまさそり座の人たちは感じていきやすいかもしれません。
というのも、先週から太陽がさそり座へと移り、いよいよさそり座木星期(2017年10月10日から2018年11月8日まで)のラストスパートに入ったためです。
さそり座というのは元来、追い込まれてからが強い(というか追い込まれないと本領を発揮しない)ところがあるのですが、そうした強さを息苦しくなるような方向にではなく、今はもっと自分が救われていくような方向に使っていくことを、心がけていくといいでしょう。
4月から半年近く、改めてあなたが胸に秘めてきたことを、どうか惜しげもなく解き放っていってください。
「汚泥」に咲く蓮華
仏教では涅槃(ねはん)の境地を象徴する神聖な花とされ、日本人なら仏像がこの花の上に座している様子を見たことがない人はいないでしょう。
また、汚泥の中から伸びて美しい花を咲かせることでも知られています。
では、この「汚泥」とは何のことか。それは、日常生活で生じる煩悩であり、人間関係において必ず生じてくる葛藤のこと。
仏典の翻訳者として知られる鳩摩羅什(くまらじゅう)は、
「たとえば臭泥の中に蓮華を生ずるがごとし。ただ蓮華を採りて臭泥をとることなかれ」
と弟子たちに云っていたと伝えられています。
これは事が面倒になると単に「良くないから」という素っ気ない理由で、その対象を自分から切り離してしまいがちなてんびん座にとって、とても重要なテーマでもあります。
今週は、自分にとっての「汚泥」をじっと見つめ、そこからどんな花を咲かせていくのかということを実感を持って予感していくことになるかもしれません。
今週のキーワード
悪人正機