いて座
魔を待ち構える
魔がさす生きもの
今週のいて座は、「魔がさして糸瓜となりぬどうもどうも」(正木ゆう子)という句のごとし。あるいは、魔が差した後も、とぼけた顔をしてやり過ごしていくような星回り。
もう何年も「糸瓜(へちま)」のことなど忘れていました。今ではもうお風呂場で使われることもほとんどなくなっているのでしょうから、文字通り無用の長物と化しているのでしょうね。
「魔がさして」作者が何をしたのかまでは分かりませんが、どこか間の抜けた顔してぶらさがっている糸瓜になってしまったと言うのだから、よっぽどバツが悪くなったのだと思います。
いわゆる「穴があったら入りたい」というやつ。でも押し黙っている訳にもいかず、「どうもどうも」なんて適当な挨拶をしてしまうところが、作者の人間臭さが溢れており、つい笑ってしまう。
そしてこれは変にごまかしたり、人を騙してまで隠そうとしていないからこそ、笑えるのだ。すべての運命が何らかのいたずらを働いてきたように、人はどこかで必ず魔がさしてしまう生きものなのだ、ということを今週は胸に刻んでおきたい。
糸瓜みたいな顔をして「どうもどうも」なんていわれたら、ほとんどの人は許してしまうのだ。糸瓜のスポンジのようにできるだけ身を軽くして、飄々としていよう。
どんとこいアクシデント(魔)
「魔がさす」というのは「やるか、やらされるか」という問題に過ぎないのであって、どちらにしろ、いつかやるんです。
奇跡(ありえないこと)への期待だけで何かを成し遂げる人がいないように、アクシデント(頻繁にありえること)を回避し続けるだけで何かを成し遂げる人なんていないんです。
どうせくるなら、喰われる前に食ってやる。そんなつもりで、今週はこっちからアクシデントを待ち構えて、生け捕りにしてやりましょう。
今週のいて座へのキーワード
ヘチマ顔