いて座
人生に弾みを与えるためには
今のいて座:「軽々と機をもちて」
今週のいて座は、眼の中に星を宿すがごとし。あるいは、俳優として自分の人生を軽妙に演じていくような星回り。
とはいえ、必ずいつも自分が主役とは限らない。相手が主役の時もある、場の空気というものだってある。その場のリズムが第1であり、自分のリズムにこだわらず、周囲のリズムとの響きあいを生じさせていくのがいいのだろう。
これは結婚披露宴などの祝辞などを考えてもらうと、分かりやすいかもしれない。
日本人はパーティー術を苦手とする人が多いが、それは大抵が固くなりすぎて場の空気とまったく響きあわないか、変にくだけすぎて言わなくていい暴露話などをして場をシラけさせてしまうかのどちらかだから。
こういうときは、話す内容よりも、大きな声で、嬉しそうな雰囲気を出せればそれでいい。「軽々とした機が見える」とはそういうことなのだ。
いつも眉間にしわを寄せ、疲れが見えてしまっているような人間は俳優には向いていない。今週はすっと気持ちを引き立てて、周囲との関係にリズムを感じていくように過ぎしていかれるように。
いて座へのアドバイス:「序」のはじめ方
世阿弥の「軽々と機を持ちて」という言葉は、「序破急」という能の時間の変化のあり方についての考えが前提になっている。
「序」は、はじまりのこと。「破」は、時間が経って気持ちが熟してくる頃。そして「急」とは、クライマックスを迎えて能が終わる時のことを指します。世阿弥は「軽々と機をもちて」という言葉で、特に「序」の作り出し方を説いている。
つまり、序にある役者はあまり重々しくあってはならず、場のリズムにそっと自分を沿わしていくのがいい。独壇場に立って、周りを置き去りにしてしまうことを強く戒めているのだ。
まず場のリズムに入り込んで、それを自分のリズムにしてしまうのでなければ、よい舞台が成立しないことを熟知していたからこその言葉だろう。
今週は、自分の身の内にいくつものリズムをもちえていくことを感じよう。それが人間の自由さであり、そこからしか響きあいも生まれてこないのではないかと思う。
いて座 今週のキーワード
響きあいとしての舞台