いて座
背面で交われ
異種族とパーティーを組む
今週のいて座は、タコとのコミュニケーションを試みていく人たちのよう。あるいは、「知性」という概念をときほぐしていこうとするような星回り。
一時期、占いをするタコがメディアで取り上げられたことがありました。無脊椎動物の中でもタコに代表される頭足類は、かなり大きな頭脳と多くの神経細胞を持っており、彼らは簡単な足し算や引き算ができるだけでなく、人間に対する好き嫌いがあって、気に入らない人間には水をかけてきたり、餌が不味ければその不満を表明しようとしてくるといった、きわめて「人間的」としか言えないような知性を感じさせます。
しかし、人間と違って彼らは1、2年で死んでしまう短命な生物であり、進化的背景を鑑みても、その知性やハードウェアが人間とはかなり異なったものであることは明らか。果たして、タコには知性があるのでしょうか、それともやはりそう見えるだけなのでしょうか。
この問題について、『タコの心身問題―頭足類から考える意識の起源―』を書いたピーター・ゴドフリー=スミスは、タコとヒトが示す知性は互いによく似てはいるが、それは「他人のそら似」以上のものではなく、進化生物学的には「相同」ではなく、「相似」的類似性と呼ばれるものに相当するのだと言います。すなわち、昆虫の翅(はね)と鳥の翼の類似性のようなもので、起源が違うもの同士が図らずも似たような形や機能にたどり着いたというだけで、互いに無縁なものであると。
確かに、「知能が高い」というだけで特定の動物を特別視するのは、逆に言えば「バカは眼中にない」と言っているようなもので、それこそ言葉の通じない相手は無視しても構わない、相手をする価値もないと見なす人間の傲慢さの表れでしょう。
つまり、コミュニケーションを取れていないのは人間の方かも知れず、受け取る側の感受性が研ぎ澄まされていけば、「知性」とはまた別の基準で「相互理解」の可能性が開けてくるように思います。
20日にいて座から数えて「受発信」を意味する3番目のみずがめ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、これまで「特に響くものがない」などと怠慢な言い方で切り捨ててきた相手や対象の中に、改めて乞うべきものや見るべきものを見出していくべし。
コミュニケーションの妙
コミュニケーションには、個人間や企業間の契約や裁判所の判決など話の文字通りの内容が大事になってくるものがある一方で、話をしている同士が存在している情景の雰囲気やそこにただよう抒情性の方が大事になってくるものとがあって、今週のいて座にとって重要なのはおそらく後者となっていくはず。
それは「同じ話をするのでもこの場所ですればより効果的!」といったような、効率よく結果を出すためのテクニックや、駆け引きのためにシチュエーションを利用せよ、といったことではもちろんありません。
そういう近代的な「個人」を主体としたコミュニケーションではなく、その背後に隠れた「背景」に語らせていくことで、互いの関係性の中に言葉にはできないような特有の雰囲気が取りこまれていき、ムードが出来上がっていく。
今週のいて座は、そうしたプロセスをさっと味わいつつ、縁や絆が深まっていくことの(あるいは、解れていくことの)リアリティーをこころから感じることができるかが、問われていくことでしょう。
いて座の今週のキーワード
背中は口ほどにものを言う