いて座
流動体としての私
ひやむぎを食べつつひやむぎになる
今週のいて座は、「冷麦を水に放つや広がれる」(篠原温亭)というのごとし。あるいは、ゆらゆらした流動体にならんとするような星回り。
茹でた冷麦を冷水のなかにいれると、いくすじもの白糸がふわりと広がっていく。その様子を想像するだけでも、全身をさわやかな清涼感が通り抜けていくようです。
「冷麦(ひやむぎ)」は素麵(そうめん)や饂飩(うどん)などと麺の太さが違うだけで、どれも同じように小麦粉で出来ているはずですが、どうも名前に「冷」と入っているせいか、一番細いそうめんと同じく、うどんよりずっと涼しそうなイメージがあります。
夏料理は味そのものというより、見た目や食感の他、料理名の音の響きも大切なのかも知れません。
こういうことは、例えばこの占いを読むにしても、いつも通り黙読しているだけではいまいち分からず、実際に声に出して朗読してみるほどに実感されてくるはずです。
7月2日にいて座から数えて「解放感」を意味する5番目のおひつじ座で下弦の月を迎えていくあなたもまた、ひとつ童心に返ったつもりになっていちいち文字を読みあげたり、奇声を発したりしてみるといいでしょう。
水の動きに同調していく
たとえば、川舟にのって移動しながら花火見物をしているところを想像してみましょう。船頭に漕いでもらって同乗しているだけなのに、次第にまるで自分の身体を動かしていくかのような感覚になってくる。
最初は川上ないし花火師たちが打ち上げているそば近くで花火を見ていたのを、何か気に入らなくて、比較的静かな川下へと移っていく。
他にも舟は出ていますから、漕ぎつつもそうした舟の間を通り抜けて、すいすいすいと水の流れに同調していく。
今週のいて座もまた、そうした川舟の動きにならい、できるだけ狭隘な常識やがんじがらめな思考を取っ払って、ほんらい自分の身の内に潜んでいる生命力を解き放っていきたいところです。
いて座の今週のキーワード
「そんなに不自由な自分でいいの?」