いて座
大炎を咲かせる
絶やさず燃やし続けること
今週のいて座は、「松明あかし地と海ち空壊れても」(永瀬十悟)という句のごとし。あるいは、支えられるばかりでなく、自分自身もまた支え手や担い手にならんと覚悟を新たにしていくような星回り。
「松明あかし」とは、福島県須賀川市で毎年初冬に行われる400年以上続く伝統的な火祭りで、日本三大火祭りの一つ。
若衆たちに担がれた長さ10メートル・重さ3トンの巨大な松明が火柱となって燃え上がる光景は圧巻であり、もともと戦国時代に伊達政宗率いる軍が須賀川城を攻め落とした合戦で、多くの命を落とした兵たちの霊を弔うために始められたとされています。
今年は新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、無観客にて関係者のみで行われるそうですが、掲句が詠まれた2011年の東日本大震災ののちもその鎮魂の火は消えなかったのだとか。
こういう時ほど、長い歴史の中で連綿と続いてきた伝統も、それを大切に思い受け継いでいこうとする人があっての伝統であり、それは一人ひとりの人間が欠けても成立しなかったのだということを、改めて痛感するのではないでしょうか。
22日にいて座から数えて「基盤」を意味する4番目のうお座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、独立し分離した個人としてよりも、大きな生きた全体の一部としての自分自身を深く感じていくことができるかも知れません。
心の中に火を起こす
もし今あなたがちょっとしたことで心が落ち込んでしまっていたり、励ましや後押しが欲しいと感じているなら、まずはしずかに目をつぶって、心をシーンと研ぎ澄ませてみてください。
そうすれば、目を閉じた先に広がる闇の奥から、きっと色々な音が聞こえてくるはず。そして、それらの中心を探し、精神の炎を灯すのです。
ほら もう夜が背中まできている
火を焚きなさい
お前たちの心残りの遊びをやめて
大昔の心にかえり
火を焚きなさい
(山尾三省「火を焚きなさい」)
昔の人は、子供の頃から火起こしの技術を叩きこまれ、まさにひとりひとりが火を焚く達人でありました。ただ、得てして精神というものをモノ扱いすることに慣れてしまうと、創造的な炎も冷たくなってきてしまうもの。翻ってあなたは?
今週のいて座はそんな自問から始めてみるといいでしょう。
今週のキーワード
「火を焚きなさい」