いて座
感受性の古層を掘り起こす
古代人として在るということ
今週のいて座は、アマゾンの先住民における「魚をとる」という言葉のごとし。あるいは、古いやり方に親しんでいこうとするような星回り。
『デサナ』という本があります。副題には「アマゾンの性と宗教のシンボリズム」とあり、そこには『万葉集』にも通じるような、古代人特有のセクシャルな想像力やアナロジー(類比)の能力が縦横に展開されている様子が伝えられています。
「魚をとりに行った」という文句からはじめよう。男だけが魚とりをするゆえに、ただ一つの対象である魚に言及されている。隠喩レベルではこの文句は「魚は女である」ということで、デサナの女たちは魚とりの部族からきていること、川は女性要素であり、魚は女性価値の食物であること、すなわちこの性質が暗黙に魚に帰せられているから、この間の比較は暗黙のうちに全員によって理解されている。川を原因にとり魚をその結果ととるとき、「川の女たちは」という風に換喩を用いることができる。
魚と言えば、イエス・キリストもまたしばしば魚について言及し、「真理を生むもの」という比喩をあらわすためにそう表現した訳ですが、先の引用においては「魚をとりに行った」というのは交合の意味でしょう。
先住民というのは人類の初期能力を保存している人々であり、彼らは性エネルギーこそが、人間の世界と動物の世界ひいては宇宙の世界を貫いて流れている共通言語であることを知っており、だからこそ豊穣への祈願を行う際には必ず性的な符合がそこに使われたのです。
9月2日にいて座から数えて「ルーツ」を意味する4番目のうお座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、合理主義や進歩史観など近代人的な思考の枠組みから少しだけでもはみ出していくことがテーマとなっていきそうです。
交感(ボードレール)
自然は神の宮にして、生ある柱(はしら)
時をりに 捉へがたなき言葉を洩らす。
人、象徴の森を経て 此処を過ぎ行き、
森、なつかしき眼相(まなざし)に 人を眺む。長き反響(こだま)の 遠方(をちかた=向こうの方)に混じらふに似て、
奥深き 暗き ひとつの統一の
夜のごと光明のごと 広大無辺の中に
馨と 色と 物の音(ね)と かたみに答ふ。
(中略)
無限(はてなし)のものの姿にひろがりて、
龍涎(りゅうぜん)、麝香(じゃこう)、安息香、焼香のごと、
精神(こころ)と官覚(にく)の法悦を歌へる、薫(かをり)。
こういうふうに「交感」をしていると、それがモノであれ自然であれ、なんだかただのモノや自然ではなくなってくる時があるのです。今週はそういう瞬間を存分に味わっていくといいでしょう。
今週のキーワード
象徴の森