いて座
世界を下から見上げていく
敗者の自覚
今週のいて座は、猫背気味に背をかがめ、伏し目がちに、あいまいに笑う非勝利者の眼差しを宿していくような星回り。あるいは、問題を成り行きに任せるか、それとも自分の招いた結果を心で受け止めるかを選んでいくこと。
欧米人のように「相手の目をしっかり見て話す」ような態度こそが、本来のあるべき人との話し方だといった考え方がありますが、なんだかそういう風潮って馬鹿馬鹿しいなと感じたことはありませんか?
もちろん、そういうはっきりとした態度から放たれる論理の明快性やイケイケ感というものを全面的に否定したい訳ではないのですが、今週のいて座の方に伝えたいのは、そうした態度以外のあるべき姿というものもあっても良いだろうということ。
自分が日の当たらない世界に属し、幾多の悲哀や挫折の末にそれでも生き永らえている「敗者」であるという自覚を持ったとき、人は自然とそれなりの眼差しを宿し、それなりの身振りで世界と対峙していくものです。
自分が敗者であるということは、イケナイことではないんです。むしろ、どこにも勝者がいないようなゲームに延々と参加させられているような昨今の時代状況においては、むしろきわめて自然体に近いのではないか。そんな風に思います。
人間のゲノムの塩基数は32億、粘菌は2900億
そういう意味では「粘菌」というのは、とても人間から想像もできないほど自然体に、クリエイティブな生き方をしている生命体です。
ふだんはたくさんの細胞へと分散して、それぞれ勝手に活動しているのですが、周囲に栄養源が枯渇して飢餓状態になると、すかさず集合して多細胞の集合体をなし、細胞同士でたくみに役割分担をしながら環境を移動していく。そして1/4を変化のための犠牲にしつつ、残りの細胞で環境に対するストレス耐性の高い胞子となって生き延び、安全になるとふたたび分化していくのです。
つまり、過去に払った犠牲の痕跡をみずからに刻み込みながら、同時にそれを未来を拓くための布石として利用していくのです。これは、環境に適応できなかったという「敗者」としての自覚の底におりていきながらも、そこから世界をもう一度見上げていくような生き方という風にも言えるのではないでしょうか。
今週のあなたはそんな粘菌の生き様から、なにか腑に落ちるものを得ていくことができそうです。
今週のキーワード
2900億