いて座
成熟のきっかけ
床下への想像力
今週のいて座は、床板を踏み抜いていくような星回り。あるいは、自分なりに世界を深めていけるような成熟ができているかを、みずからに問うていくこと。
例えば職人やアーティストなどは、年を取ることごとに技術的にはうまくなっていって安定感は出てくるのだけれど、逆に当初持っていた荒削りの魅力は失われていくという人がほとんどなのではないかと思います。
これはいかに表現者として成熟していくということが難しくて、ある程度のところで小さくまとまってしまうかという話でもあり、思想家の吉本隆明はそうした大部分の人について「床板の上で仕事をするようになる」と評していました。
逆に、例外的に成熟しえた表現者であった夏目漱石やドフトエフスキーなど、年を追うごとに世界が深まっていった者たちは、絶えず床下のことを考えていて、いったんもうこれで安泰だなという「床上の世界」が出来上がっても、何度も何度も「床板を踏み抜いて」しまうのだと。
これは人生を通じて「グレードアップ」を大切にしていくいて座にとっては、非常に重要な問題と言えるかも知れません。
6月13日にいて座から数えて「終わり方」を意味する4番目のうお座で、下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、「一から出直す」という機会を自分で創っていけるかどうか、という局面を何かと迎えていきやすいでしょう。
無邪気さと成熟は比例する
『100歳の華麗なる冒険』という映画などは今週のあなたにぜひおススメしたい作品です。
100歳ともなれば、頭も体もそんなに動かないし、大体の人より年上だし、もはや「余計なことはするな」という制約や重圧が身体的にも社会的にもかかってきますが、この映画の主人公であるおじいちゃんは、それらをいともたやすく、しかも限りなく優雅に「踏み抜いて」しまいます。
もし壁にぶつかったとしても、いちいち頭や体を叩きつけたり、「力」で壁を粉砕する必要などありません。成熟とは、単に知見や業績、財産が増えることを言うのではなく、何度でも若返っていくことに他ならないのです。
今週は、年甲斐など忘れて、ただやんちゃな子供のように振る舞ってください。あやうく、おぼつかない自分を許し、むだを遊ぶことです。
今週のキーワード
挑戦者は何度でもサイコロを振る