いて座
自然体に戻るために
沈黙を取り入れる
今週のいて座の星回りは、夜中の薔薇のごとし。あるいは、たくさんの言葉で自分をごまかすのではなく、ただじっと自分を見つめていこうとすること。
占いを通して人の話を聞いていると、ときどき向田邦子さんの次のような文章のことを思い出すことがあります。
「花を活けてみると、枝を矯(た)めることがいかにむつかしいかよく判ります。折らないように細心の注意をはらい、長い時間をかけて少しずつ枝の向きを直しても、ちょっと気をぬくと、そして時間がたつと、枝は、人間のおごりをあざ笑うように天然自然の枝ぶりにもどってしまうのです。よしんば、その枝ぶりが、あまり上等の美しい枝ぶりといえなくとも、人はその枝ぶりを活かして、それなりに生きてゆくほうが本当なのではないか、と思ったのです。」
これは彼女が何の不自由もない社長秘書としての勤めを辞めて、新聞の求人広告に応募して映画雑誌の編集記者となったきっかけについて書かれた『手袋をさがす』というエッセイの中に出てくる一節です。
彼女は実のところ「何の不自由もない暮らし」への不満を隠していかにも楽しそうに見せかけていただけだったのです。
自分本来の枝ぶりを見失っている人は多いですが、彼女のように「沈黙」を通して人生を変えることのできる人は少ないように思います。
25日(土)にいて座から数えて「矛盾の解決」を意味する3番目のみずがめ座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、ひとつ自分の枝ぶりを活かす道を見据えていきたいところです。
生きた自然として在る
「整体」という言葉が普及するきっかけをつくった野口晴哉は、自然に生きるとは何も獣のように山野を駆け回ることにあるのではなく、「白い飯を赤き血にして、黄色き糞にしていく」そのはたらきにこそあると述べました。
いわく、
「生の食べ物を食べても、生水を飲んでも、海で泳いでも、森の中に入ってもそれが自然なのではない。人間という集合動物が街をつくり、その中に住んでいたって決して不自然ではないのだ。ただその生活のうちに生の要求をハッキリ活かすよう生くることが、生くる自然であることだけはハッキリしておかなければならない」(『月刊全生』)
彼に言わせれば、もっともらしく喧伝された健康法を気にしているうちは、外部に自分の自意識を満足させてくれる材料を探している状態に過ぎないのかも知れません。それが例え、「何の不自由もない」ように見えたとしても。
今週は、あなたの身の内にある“よりよく生きる要求”すなわち自然の言うことに耳をそばだて、それを生活に活かしてあげるといいでしょう。
今週のキーワード
自分本来の枝ぶりを活かす