いて座
復活と豊穣
ザクロの実は血よりも赤く
今週のいて座は、赤い実を手にもつ幼子イエスのごとし。あるいは、「受難―復活―永遠」のイメージを改めてみずからに通していくような星回り。
非常に古い時代から栽培が開始されたザクロは、その実(種子)が多数であることから、豊穣吉祥を象徴する果実とされ、聖書にも三十か所近い記述がある他、ボッティチェリの描いた「ザクロの聖母」と呼ばれる聖母子像など、キリスト教においても重要な象徴物の一つとなっています。
その絵において、幼子イエスは、聖母のもつザクロに左手を添え、右手をあげて祝福を与えているのですが、これは一帯何を表している図像なのでしょうか。
熟して果皮が裂けぱっくりと中の赤い実が見えるのは、血の滴る生肉をたべた猛獣の口をも連想させますが、一般にザクロは、未来の受難を象徴するものと言われており、さらにその後の復活をも表わすとされます。
なぜなら、復活は受難、すなわち死を通して初めて起こりえるからです。
27日(水)にいて座で新月が起きていく今週のあなたもまた、そうしたザクロの実に象徴されるような復活を何らかの形で遂げていきやすいはず。
それは12月3日(火)に最大吉星である木星が、ついにいて座からやぎ座へと移っていく直前にもたらされる「最期の果実」ともなっていくでしょう。
初々しさが大切なの
詩人の茨城のり子さんの「汲む―Y・Yに」という素晴らしいもまた、ザクロの実が象徴する「尽きせぬ豊穣を汲みとる」という体験について触れたものと言えますが、今のいて座にとっては、まさに宗教画のように光輝いて感じられるのではないでしょうか。一部をご紹介しておきます。
「初々しさが大切なの
人に対しても世の中に対しても
人を人とも思わなくなったとき
堕落が始るのね
墜ちてゆくのを
隠そうとしても
隠せなかった人を何人も見ました私はどきんとし
そして深く悟りました人になってもどぎまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 醜く赤くなる失語症 なめらかでないしぐさ
子供の悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外にむかってひらかれるのこそ難しい
あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている
きっと…… 」
今週のキーワード
全身の細胞が入れ替わるがごとく