いて座
宇宙に抗い続けていく
先回りして自らを壊す
今週のいて座は、エントロピーの増大に反抗していく生命のごとし。あるいは、頭の中のアイデアや概念に、命を吹き込んでいくような星回り。
エントロピーとは「混沌」という意味で、宇宙の大原則として、あらゆる物事はエントロピーが増大する方向にしか動いていきません。秩序あるものは時間の経過とともにカオティックに混乱していき、一点に集まったエネルギーもやがては分散していく。
つまり、いくら整理整頓した机も散らかるし、熱烈な恋もいつかは冷めてしまうのだと。
そして、そんなエントロピーの増大に絶え間なく抵抗しているのが、すべての細胞を入れ替え続けることで死を免れて「生きて」いる人体であり、生命の働きなんです。
興味深いことに、生命は細胞が自然に壊れる前に先回りしてみずからを壊し、その不安定さを利用して新しい細胞を作り出す活動をしているんですが、それでも新たに作られる細胞より徐々に壊れていく細胞が増えていくことで、人は老い、死を迎える訳です。
14日(土)にいて座から数えて「自分を支えてくれているもの」を意味する4番目のうお座で満月を迎えていく今週は、こうした生命が細胞レベルで行っている宇宙への抵抗を、人生における活動レベルで行っていこうとするでしょう。
つまり、個人としての弱さや未熟さ、老い、死などを受け入れつつも、強さや若さ、しぶとさやみずみずしさを湛えた自分へと生まれ変わるための決定的なアクションを取れるかどうかが問われていきやすいということ。
「うつろい」の感覚
いて座の人たちがこのタイミングで注目しておきたいものは、「うつろい」の感覚と言ってもいいかもしれません。
これは「ウツ(空)」という言葉を語幹として生まれた言葉で、空疎な状態になにかがやってきて移っていくことを言います。ついでに言えば、そこでは「移る」だけでなく「写り」や「映り」も起こっており、その情報の相入相関のなかで、「うつつ(現)」が微妙に移り変わっていく。
それは、生命というものは時のうつろいとともに自分もうつろい、そこで必然的に生じるゆがみやほころびも遮断しないでいるということを、感覚的によく表しているように思います。
そこでは、生きることは絶えず生まれ変わっていくことに他なりません。
そうした生まれ変わりのコツやきっかけを、今週改めて思い出していけるといいのですが。
今週のキーワード
生命の生存戦略